一定の店舗面積の中で、陳列できる商品アイテム数や設置できる販促物は限られている。だが、そんな中でも来店客層にあった商品をおすすめしていくために店舗を支援するテクノロジーが出てきている。来店者の行動パターンをつかむことは品ぞろえの改善や適切なサービスの提供につながる。従来の陳列・売り場演出を変える新技術を見ていこう。
試着をサポートする技術
メモリーミラー
開発:インテル、MemoMi
1度着れば全色試せる魔法の鏡
赤い服を着ているのに、鏡に映っているのは青い服を着た自分…?手もとのタブレットを操作すると、一瞬で違う色に変換できてしまう、こんな買い物体験ができるのがデジタルサイネージの「メモリーミラー」だ。米・高級デパートのニーマンマーカスが設置しているほか、伊勢丹新宿店の店内イベントほかでも導入されている。
実際にメモリーミラーの前に立ち、試してみると、体を動かしても映像が自然についてきた。全身を映し出せるこのミラーの特徴は、試着した姿を映像として保存し、すぐに見られることにある。ミラーの前で歩いてみたり、くるりと回ったりして映像を保存すれば、服を着たときの後ろ姿や横からの見え方を確認できる。さらに保存した映像をメールできるようにもなっていた。SNSでシェアする機能も開発中だ。
服の購入を検討する時、顧客の背中を押すのは試着である。着心地が良く、自分の体に合っていて、財布の都合も付きそうなら、後はどの色にするか。試着室に瞬時に服の色を変えられるシステムがあれば、これまで手に取らなかったような色も試してみたくなるのではないだろうか。もし店舗に在庫がない色も試せるとなれば、選択肢も広がる。買うかどうか迷って、親しい誰かに「どうかな?」と意見を聞きたい時には、映像や画像を送信する機能が使えそうだ。
こうした新しい買い物体験ができるツールは、「珍しいから試してみたい」という来店客を集める役割がまだ大きい。だがカラーバリエーションを気軽に試せるシステムが一般的になってくれば、陳列できる商品の数が限られる店舗であっても、接客時におすすめできる商品の幅を広げることができる。どんな色に関心が集まっているかデータを取ることができれば …