スマートフォンのほかにも、タブレットPCやネットにつながるスマートテレビといったデバイスの登場で、映像表現に触れる機会や放送の可能性が広がっている。プロモーションに生かす道もあるだろう。スマートデバイス向けのコンテンツ施策やビジネス活用に向けて日本テレビ放送網らが設立した新会社HAROiD(ハロイド)の安藤聖泰社長に、放送を起点としたプロモーションの展望を聞いた。
テレビ視聴者から高ロイヤルティ者を抽出
─10月は在京民放5局が共同で、テレビ番組を広告付きで無料配信するサービスを始めるなど、消費者と映像コンテンツの触れ方が変わりはじめました。
従来テレビで見ていた番組をパソコンやスマートフォンでも見られるようにする取り組みで、視聴者層の拡大に期待が寄せられています。オンライン動画広告の収入が配信コストとつりあう見通しがついたということでしょうし、権利者の理解も進んだのだと思います。
こうした動きは3つの「シフト(移行)」の表れを象徴しています。一つめは「テレビ→スマホ・パソコン」の「デバイスシフト(端末の移行)」。二つめは放送時間外でも見られる「見逃し視聴」の「タイムシフト(時間の移行)」です。三つめはスマホなら家の外でも楽しめますから、「プレースシフト(場所の移行)」と言えます。こうした3つのシフトは、さまざまな可能性をもたらすと思います。
一方で、いずれも「従来のテレビで視聴していた体験」を「スマートフォンでも同様に体験」しているにすぎないという見方もできるのではないでしょうか。「デバイスシフト」ひとつとっても、例えば、パソコンの普及時は、1家に1台あれば済む、万能の機械のようにとらえられていました。しかし2007年、「iPhone」が登場して「スマホシフト」が起きました。現在は「スマホがあれば何でもできる」ように言われます …