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「買う」5秒前2

元を取りたいワタシ

草場滋

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ランパスの楽しみは、“元を取る”こと。その動機は、タダでもらえるフリーペーパーのクーポンより、人を動かす。 
イラスト:高田真弓

ランチパスポート本、通称「ランパス」が大人気だ。書店に行けば、目立つ場所にコーナーがあり、赤坂や新宿、恵比寿など様々なエリアのバージョンがある。

1冊1000円。各エリアとも7、80店舗ほど載っており、該当の店に本を持参すれば1000円前後のランチが1コイン(500円)で食べられる仕組み。本の有効期限は3カ月間で、来店する度にスタンプが押され、1店舗につき3回まで来訪可能。3回も使えば本の値段の元を取れる計算だ。

驚くのは、エリアの種類。今や41都道府県、82エリアで発行されており、もはや人気は全国区。面白いのは、地方によって出版社が違うこと。聞けば、もともと高知県のタウン誌「ほっとこうち」が別冊で始めたのが第1号で、そのノウハウを同じく愛媛県でタウン誌を出すエス・ピー・シーと組んでフォーマット化。それを横のつながりのある全国各地のタウン誌に出版を呼びかけたところ、一気に広がったとか。少額のライセンス料を支払うだけで、あとは売れた分だけ儲かる仕組みがウケた。もともと地方のタウン誌は地元の飲食店情報に強く、ネタ集めはお手の物。エリアによっては発売と同時に完売することも珍しくないので、彼らにとって今や貴重なドル箱だ。

実際、発売されると、掲載店舗のランチ客の半分は、ランチパスポートの利用客になるとか。店側にとっても、利幅は減るがその分、来店客が増え、3カ月間タダで広告を載せてもらえると思えば、悪くない話だ。

それにしても――なぜ、こんなに売れるのか。考えてみたら、フリーペーパーにも時々、飲食店のクーポンが付くが、僕らはあまり利用しない。それがランパスだと、多い人は週の半分は本を持参してワンコインランチを食べる。

フリーペーパーとランパスの違い。それは――“元を取る”である。

今やフリーペーパーやチラシ …

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