「なつかし処昭和食堂」「懐かし居酒屋えびすや」をはじめ居酒屋・レストランを11業態80店舗(5月現在)運営するする海帆。右肩上がりで売上を伸ばし、4月には東証マザーズに上場。そんな同社の現場力に迫る。
海帆 代表取締役社長 久田敏貴氏(ひさだ・としたか)
1992年株式会社鈴岡入社、1995年魚帆入社、97年有限会社魚帆(現・株式会社魚帆)設立、代表取締役社長就任(現任)、2003年株式会社海帆設立、代表取締役社長就任(現任)。
海帆の強みとは?
まず当社の成り立ちからお話すると、海帆グループには、「魚帆」という子会社があります。これは創業62年になる、私の父が創業した魚屋で、マグロの買い付け、卸し、加工が主な事業です。つまり、元々「魚帆」という会社があり、私の代から「海帆」を立ち上げ、居酒屋事業へ販路を広げました。こうした基盤があるからこそ、鮮度の高い料理が提供できています。
上場会社でマグロの買い付けまでして、卸せる企業というのは珍しいと思います。お店で出す食材の仕入れの2〜3割は自社で持っています。これは他社が実現したくても、すぐにマネできることではないはずです。おかげで魚も新鮮です。
2003年4月、居酒屋1号店となる「昭和食堂 小幡店」をオープンして以来、売上と店舗数ともに伸ばし続けてきました。海帆グループの売上高は飲食事業が9割。出店エリアは、東海地区だけに留まらず、九州地区にも伸ばしているのが現状です。
特徴は、7割の店舗が郊外のロードサイドにあり、駐車場を併設した形で展開していること。駐車場を広く確保するために、コンビニだったところに出店することも多いです。居酒屋の居抜きにこだわっていないので、出店エリアの選定には困りません。
廃材などを活用しているので、出店にかかった投資の回収が早いという点も強みですね。郊外ロードサイド型店舗のメリットは、店内を広く作ることができるため70人ぐらいの団体客にも対応できること。例えば8月は、都心部では売上が下がる傾向にありますが、当社では売上が落ちません。郊外だと帰省があるため、同窓会が開かれたりするからです。
また出店エリアは工業地帯に囲まれていることから、12月の忘年会シーズンも、団体の利用が多く占めています。
他社が、駅前に出店する戦略の逆を行くわけではないですが、郊外ロードサイドでのナンバーワンを目指しています。メインターゲットは、工場を持つ企業さんなどの団体、あとはファミリーです。
宴会需要を確保するため、現在42台の無料送迎バスを運行しています。これは旅館からヒントを得て、郊外ロードサイドに集客する策としてたどり着いたアイデア。送迎バスを利用される方は多いです。飲酒運転の同伴者にも罰則がつくようになってから、一時期、売上が下がったことがありました。しかし送迎バスを導入することにより売上が回復。もはやそれまで以上に上がる結果になり、バスの導入は、一つの転換期となりました。
出店の考え方は、まず繁華街に1店舗出し、そこから郊外へ広げていくやり方で、商圏10キロ圏内をカバーしています。1エリアに最低でも3〜4店舗ないと送迎バスを周遊できないし、効果もありません。店舗拡大に力を入れています。
貴社の現場力とは?
販促活動を内製化することで、スピード感を持って実施に移し …