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決済データでニーズを先読み

決済×販促 米潮流から見るSPキーワード

射場 瞬

アメリカでの調査をもとに、日本の販促担当者が知っておくべきSP分野のキーワードを解説する連載「米潮流から見る注目ワード」では、決済連動マーケティングの話題がたくさん登場しました。ここでは、その総集編をお伝えします。

IBAカンパニー 代表取締役
射場 瞬氏(いば・ひとみ)

日本コカ・コーラ副社長、アメリカン・エキスプレス・カンパニーUS本社ディレクターなどを経て独立。約20年間の米国などでの最前線の実務経験と人脈を活かし、データドリブンマーケティングの領域を中心にコンサルティングを手がける。

販促太郎 


プロモーション業務を担当して5年目

    総集編(1)

    「タブレットレジ」Tablet POS

    タブレット端末にPOSアプリをインストールしたレジ。売上、在庫、顧客情報などを統合的に扱え、データベースをフレキシブルに活用できる。

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販売情報などを分析できるタブレットレジ。そこから消費者理解や集客へとつなげたい。

イラスト:根津あやぼ

販促▶ 米国では、従来のキャッシュレジに代わり、タブレットレジの導入が進んでいるそうですね。

射場▶ 2005年のアップルストアなどでの導入に始まり、急速に拡大しています。米国内のモバイルPOS市場(ソフト+ハード)は、13年には既に20億ドル(約2000億円)を突破しました。中でも大きな伸びを見せるのが、タブレットベースのレジ。タブレットレジは、既存キャッシュレジを代用するだけでなく、顧客データや販売情報を詳細に記録・分析したり、オンライン上の情報と統合したりして、クーポンなどの発行を含む包括的なデータ利用マーケティングを可能にします。

またタブレットレジを消費者側がスマホでダウンロードするアプリと連動させ、クーポンやお得情報をプッシュ通知すれば、さらに使い勝手の良い、マーケティングプログラムが提供できるようになります。会計や在庫・シフト管理といった店舗運営のオペレーション機能などと効率的に連携することも可能です。また、マーケティングに有効なアプリが開発されたら、それをダウンロードするだけでハードを変更することなく新機能が使える。この拡張性も魅力の一つです。

販促▶ タブレットレジで集めたデータを使って、集客および既存顧客のリピート率の向上に活かせるというわけですね。米国の小売では何が起きているのでしょう。

射場▶ アップルが発表した「ApplePay」をはじめ新たな決済サービスの導入、PINベース(4桁の暗号を入れる)のカードの増加などで、POS自体の変更を強いられる状況が小売で起きています。2015年にアメリカでタブレットレジの移行が一気に進むのではという予測もあるほどです。実際に、タブレットPOSの提供企業の新規参入も増え、店舗での導入も進んでいます。

それから業界別、目的別のタブレットアプリが増えていきそうです。例えばレストラン特化型、バー特化型などのレジアプリが出ていて、その業界でのシェアを伸ばしているのです。在庫管理なども、業界ならではの仕組みを理解したアプリの方が使いやすいということもあるのでしょう。

現在、米国のタブレットレジ用ソフトウエアで注目されている企業は、NCR Corporation(商品名:NCR Silver)とShopKeep(商品名:ShopKeep)ですが、この2社が選ばれる理由には、マーケティング機能が充実していることが挙げられます。データの分析により消費者理解を深め、データに基づいたクロスセルやCRM(クーポン発行など)マーケティング、ビジネス改善のため分析を行うことで、売り上げの向上が期待できます。

今までターゲットを絞らず配布していたクーポンなどのいわゆる“無駄打ち”や、販促担当者の感覚で行っていたキャンペーンを、データに基づいた施策に変え、結果の分析、改善というサイクルを作ることができるのです。

今後は、こういったタブレットレジの機能と消費者側のスマホアプリの連携も増え、店舗側・消費者側どちらにとっても有意義なマーケティングがより簡単に行えることになるでしょう。



    総集編(2)

    「アップルペイ」Apple Pay

    アップルの新しい決済機能。Apple Pay機能のついたiPhoneなどの端末を読み取り装置にかざし、指紋認証をするだけで支払いができる。

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端末を読み取り装置にかざして決済できるApple Pay。

販促▶ 14年10月からアップルが米国で導入した決済方式「ApplePay」で何ができるようになったのでしょう。

射場▶ Apple Payを搭載しているスマートフォンは現状、iPhone6とiPhone6 Plus(iPad Air2、iPad mini3、Apple Watchにも搭載されている)。米国では、14年10月より実際の店頭で使用されています。特徴はNFC(近距離無線通信)を使った支払いができること。日本で言うおサイフケータイのような機能が端末に内蔵されています。おサイフケータイに比べ、優れている点は、一つ目が安全性。指紋認証で本人確認ができます。二つ目が …

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