宛名なしDMが新規顧客獲得の施策として脚光を浴びつつある。その宛名なしDMの可能性について、マーケティングを専門とする青山学院大学経営学部の小野譲司教授と、DMにまつわるコミュニケーションデザインに詳しいヤマトダイアログ&メディアの稲川浩之氏が議論した。
「新聞の折込広告やEメールのDMなど効きにくくなっている環境の中で、宛名なしDMの可能性は広がりそうです」と小野氏。
通常のDMと何が違うのか?
新聞の行為者率の'95,'00,'05,'10年の変化(平日・男女年層別)
出典:放送研究と調査(2011年6月)「生活時間調査からみたメディア利用の状況と変化」
男女ともに20代から50代にかけて、新聞の行為者率(1日の中で15分以上利用した人の割合)が大幅に下がっている。
小野▶ 折込広告に代わる新規顧客の獲得策として、宛名なしDMを選択する動きが活発化しているそうですね。
稲川▶ 新聞の購読者数が年々減少する中(図)、「〇〇地域にお住まいの方へ」といった形で、個別の宛名を記載せず、指定エリアに届けるDMは、宛名リストがなくてもターゲットに届けることができるため新規顧客獲得策として採用する企業が目立ちます。当社では、国勢調査や、当社独自のデータ分析手法により、どのエリアにどの年代、性別、世帯年収の人が多いのか、自動車保有台数はどうかなどをセグメントしており、ターゲットとしたい対象がいるエリアに無駄なく効率的に情報をお届けする宛名なしDM「エリアダイアログ」が好評を得ています。
小野▶ どんな業種の利用が多いですか。
稲川▶ ブランドに配慮されている企業が多いです。折込広告だと特殊な形状のDMは扱えませんが、宛名なしDMは表現の幅も広げられるので、ブランドの世界観を演出しながらも、しっかりとレスポンスにつなげられる。特に増えているのは、店舗集客では学習塾や不動産、自動車ディーラー。顧客獲得ですとダイレクト型の保険や通販企業です。
当社の宛名なしDMをご利用いただくことでレスポンスが数倍に増え、継続的にお付き合いいただくクライアントも増えています。
小野▶ マンションのポストの隣にはゴミ箱が置かれているのが現状です。そうした場合、捨てられずに開封してもらう工夫は欠かせません。
稲川▶ その点、宛名なしDMは、厚みのある上質な紙を使用したり、A4サイズの封筒に入れて配布したり、返信用ハガキを付けたりとバリエーションが多彩で、目立ちやすいですね。
宛名なしDMの可能性
小野▶ 通常DMと言うと、宛先が必要ですが、宛名なしDMは、自分たちの顧客リストにない層を新規顧客として広げていきたいときに役立つ手法です。
稲川▶ 企業が保有する顧客リストだけでは、どうしても先細ってしまいがちです。広範囲に一度、宛名なしDMを試して、そのレスポンスデータを分析することで、精度を上げていく、または当社の既存顧客分析システムで、簡易的なターゲット像を導きだし、そのターゲットと類似する層が居住するエリアに拡張していくような使い方をすると効果的です。
小野▶ 折込広告より細かくターゲットエリアを特定し、接点ができる仕組みですね。今まで顧客台帳でしか接点のなかった企業が、こういった方法で顧客との接点を増やすことができるのは非常に面白い。折込広告は、新聞を購買していないと届きませんし、EメールのDMもメールボックスに大量に届く売り込みメールは、基本的に開封しないですよね。さらに自分の名前が書かれたものが知らない企業から送られて来たら、怪しいと感じてしまう。こういった環境の中で、宛名なしDMの可能性は広がりそうです。
稲川▶ ウェブサイトを通じて情報を発信する場合も、ターゲットに検索する意思があれば、情報に接してもらえますが、自社の商品についてそもそも関心がない人に対しては、情報が届きにくい。しかし宛名なしDMだと、ポストにDMが届いていて、興味喚起から顧客獲得まで発展していく可能性があります。要するに潜在的に関心のあるものに対して、DMとの出会いによって、購買意識が顕在化されるということです。しかもDMで顕在化された顧客は、競合と比較したり浮気しにくい傾向にあります。ウェブだと他社のサービスとすぐ比較ができてしまうのですが、紙だと物理的に不可能なので。
小野▶ なるほど。たしかに浮気はしにくいかもしれません。車や住宅などの高額商品は、じっくり検討していく高関与商品なので、購買行動の意思決定のプロセスが長期にわたります。そういうものにも、宛名なしDMは合いますね。
稲川▶ そうですね。新聞の購読数も減っている中、なかなか折込広告が効かなくなっていると感じている企業、ウェブの施策をやりつくして次なる方法を探している企業には、宛名なしDM「エリアダイアログ」をぜひ一度試してもらいたいですね。
宛名なしDM「エリアダイアログ」を潜在顧客に届ける
ヤマトダイアログ&メディア
宅急便を中核事業とした総合物流企業であるヤマトグループが持つ、配達力とソリューション提案力。そして世界最大規模のロジスティクス・グループであるドイツポストDHL グループが持つダイレクトマーケティングのノウハウが融合した企業。2006年設立。略称はYDM。マーケティング課題と結果を共有できるダイレクトマーケティングパートナーとして、マーケティング課題に対しソリューションをワンストップで提供し費用対効果を向上し続けている。
新規顧客の獲得・店舗集客プロモーションの新定番「エリアダイアログ」は、同社独自の分析手法により、ターゲット含有率の高いと思われる地域を選び、町丁目単位で宛名のないDMを配達するというもの。この結果、効果の高い販促の実施が可能となる。YDMでは、ダイレクトマーケティングのプランニングからDM表現、発送エリアの選定までをトータルにサポートする。また、納品前の仕分け作業が不要なことや、宛名なしDMのお届け先からDM配達に関する問い合わせがあった際も、クライアントではなく、同社が受け付けるきめ細やかなサービスが好評を得ている。
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◇トップページ
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◇エリアダイアログサービスページ
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青山学院大学 経営学部 教授 小野譲司氏(おの・じょうじ)青山学院大学経営学部マーケティング学科教授。専門分野はマーケティング、サービス・マネジメント、顧客戦略。JCS(I 日本版顧客満足度指数)アカデミックアドバイザリーグループ主査として、サービス産業の大規模顧客満足度調査の設計と分析に関わる。 |
ヤマトダイアログ&メディア 経営戦略部長 外資系ダイレクトマーケティングエージェンシーにてシニアクリエイティブディレクター、アカウントプランニングディレクターを経て、現在はヤマトダイアログ&メディア 経営戦略部長、コミュニケーションデザイン部長を兼任。 |