
介護の資格・経験のある乗務員が、さまざまなニーズにこたえる、日本交通のケアタクシー。
収益性をどう確保するか
足腰が弱る高齢者にとっては、外出する際の「移動」は大きな問題だ。国は「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」を制定し、移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性の向上の促進を図ろうとしている。
鉄道やバスなどの交通事業者も移動が円滑になるよう、車両や施設のバリアフリー化などに取り組んでいる。
タクシー業界では、乗降時の介助などを行う「介護タクシー」と「介護保険タクシー」で対応している。介護保険タクシーは介護保険が適用され、介護保険法の要介護認定1〜5の人が対象で、通院や役所、銀行など公的機関への移動などに使え、運賃も低料金で利用できる。これに対し、介護タクシーは、一人でタクシーや公共交通機関を利用できない人なら誰でも利用でき、行き先に制限がないが、介護保険は使えない。
業界では、乗務員にホームヘルパー2級などの有資格者をあて、車イスごと乗れる車両を用意するなどの対策をとっている。
高齢化社会を迎えて今後もニーズが高まることが予想されるが、事業者や乗務員にとっては、運賃収入が通常業務と変わらず、うまみがないという問題点がある。
そうした中で、積極的に介護タクシーに取り組んでいるのが、流してお客を拾うタクシーから、お客に選ばれるタクシーにして、個人需要を掘り起こすことに活路を見出す業界大手の日本交通。
フォーカスしたのが「介護」、「キッズ」、「観光」。高齢化社会では介護の問題は避けて通れず、有職女性の増加などで育児の問題も浮上し、政府の訪日観光客増加策が推進されるなか2020年に東京オリンピックの開催が決まり、東京で外人観光客需要の増大が見込まれる。
こうした需要に対して、個人需要に特化し、サービスメニューの開発に取り組んだ。
日本交通にはグループで現在約7000名の乗務員がいるが …