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経営トップ 販促発想の着眼点

経営トップ、販促の着眼点‐海外ブランドのエプロンを扱うアモリコ

蓬田修一(ジャーナリスト)

ユニークかつ効果的なプロモーションを展開する企業のトップに、どのような視点で販促を考え、展開しているのかを聞く。

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エプロンのサイズはフリー。欧米人の女性というと大柄というイメージがあるが、実際は日本人女性の身長とさほど変わらない人が多いという。そのため外国で生産したフリーサイズの商品を、そのまま輸入して販売できる。サイズが1種類なので、S、M、Lなど複数のサイズを揃える必要がなく、在庫リスクも低く抑えられる。

アモリコ 代表取締役 彌野龍太郎氏(やの・りゅうたろう)
1976年小樽市生まれ。大学ではスペイン語を専攻。1年間休学して中米を長期旅行した経験を持つ。卒業後に中米・アジアの14か国を旅行し、その後滞在していたニュージーランドで、現在取り扱っている海外ブランドのエプロンに出会う。2008年にアモリコを設立し、同社クリエイティブディレクターで妻の彌野亜希子氏とともに社業を拡大してきた。ビジネスを行っていく上で、もっとも大切にしているのは「人脈」。異業種交流会などを積極的に活用し、他社の経営者らとのつながりを大切にしながらビジネスを展開している。

年商1億2000万円 順調に業績を伸ばす

雑貨の輸入および販売を手がけるアモリコの主力製品は、海外ブランドのエプロンだ。シンプルな柄が主流の国産エプロンと対照的に、原色を大胆に使い、豊かな色彩で明るい感じのデザインなのが特徴だ。形状も通常のエプロンが平板なのに比べ、胸元や腰回りが立体的になっていて、エプロンというよりワンピースのような作りになっている。

取り扱っているエプロンは、アメリカ、カナダ、オーストラリアの計8ブランド。アモリコは8ブランドすべての日本総代理店となっている。商品の価格帯は7000円台後半がボリュームゾーンで、一般のエプロンよりはやや高めだ。渋谷ヒカリエ、阪急うめだ本店、静岡パルコ、ラシック福岡天神において店舗展開するとともにネットでも販売している。中心顧客は30~40代の女性で、店舗とネット販売を合わせ、年間約1億2000万円を売り上げる。

百貨店の催事スペースに出店

アモリコ代表取締役の彌野龍太郎氏がこうしたエプロンに出会ったのは、会社を設立する前、海外旅行していたときのことだ。滞在先のニュージーランドのホテルで、たまたま現地のテレビドラマを見ていると、派手な色彩でかわいいデザインのエプロンを出演者が身に着けているのが目に入った。

彌野氏は「こんなかわいいデザインのエプロンは日本で見たことがない。日本市場に紹介すれば、きっと広まるはずだ」と直感。早速、テレビで見たエプロンの生産・販売元を調べコンタクトし、「日本で販売したいので、ぜひ扱わせて欲しい」と交渉した。

その結果、日本で販売できることになり、横浜の中華街に数坪の小さな店を出し販売を開始した。すると、彌野氏の見込みどおり、普段見かけたことのない派手なデザインのエプロンは中華街を訪れる観光客の話題となった。番組制作のために中華街を訪れていたテレビ局の制作スタッフが、たまたまアモリコのエプロンを見つけ番組で紹介すると、全国キー局の情報番組などでも取り上げるようになり、商品の認知が一気に広まった。

また店舗での販売と同時に、全国各地の百貨店において、催事スペースを活用した販売を開始した。ある都市の百貨店での催事が終わると、すぐ次の都市の百貨店の催事へという具合に、日本全国をキャラバンするように地道な販売活動を続けた。

彌野氏は「当時は、百貨店の催事スペースに出店することくらいしか、販促方法を思いつきませんでした」と …

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