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現場のマーケターは、消費者とどう向き合うべきか――第2回 DIRECT STREAMING セミナー

2015年10月に予定されていた消費増税が1年半先送りすることが発表された。今年4月の増税後の買い控えの記憶も新しいが、次の波が来る前に、消費者と商品やサービスとの距離を縮めたいところ。商品にスペック以上の価値を感じてもらい、文字通り“ダイレクト”に関係を築くにはどうすべきか。10月8日、メーカー、小売、運輸と各業種のマーケターが集い、セミナーが開催された。

    第2回 DIRECT STREAMINGセミナー
    「CRMからCLMへ、カスタマー・ロイヤリティ・マネジメントの勧め」

    登壇者

  • ネスレ日本
    ネスカフェアンバサダー ビジネスユニット部長
    津田匡保氏
  • 大広
    ダイレクトマーケティング総合研究所 所長
    松浦信裕氏
  • 西武鉄道
    鉄道本部運輸部スマイル&スマイル室 新規旅客創造担当
    中山 寛氏
  • 東急ハンズ
    ITコマース部長 執行役員
    長谷川秀樹氏

10月8日に開催したセミナーの会場風景。定員60人で3時間、密度の濃い講演が行われた。

対等に意見を交わすことで顧客の声の本質が見える

会員数が約14万人に到達した「ネスカフェ アンバサダー プログラム」。コーヒーマシンを無料で貸し出して職場に設置してもらい、代表者「アンバサダー」が専用カートリッジの購入や補充を行うというプログラムだ。消費者にコーヒーを直に届ける仕組みとして、ネスレ日本の安定的な収益源に成長している。顧客との新たな関係づくりをテーマとした今回のセミナーは、同プログラムを担当するネスレ日本の津田匡保氏による講演でスタートした。

「ダイレクトマーケティングは、とかくプッシュ型になりがちなので、顧客が喜ぶことだけをする、一緒にサービスを作っていく」というのが津田氏の考え。そのためにイベント、グループインタビュー、オフィス訪問と、「とにかく顔を突き合わせて、アンバサダーの声を直に聞く」という取り組みを重ねている。津田氏自身も彼らと会話を交わすという。

ポイントは自分の考えも積極的に述べること。「対話することで意見の本質が見えてくる。拝聴するだけでは表面的になる」と津田氏は言う。

そして、その意見をサービスに反映する。特に専用カートリッジを届ける定期購入の仕組みを改善すると、会員離脱はほとんどなくなった。「愛されるブランドづくりには、顔をつきあわせて直接声を聞いたり、サービスを充実させることが大切だと学ばされた」。

顧客ロイヤリティを見極める“ダイレクト体質”のマーケター

“ダイレクト体質”で顧客に向き合えるマーケターこそ、これから必要な人材だ─第二部の大広ダイレクトマーケティング総合研究所 所長の松浦信裕氏のセミナーでは、こんなフレーズが登場した。

講演は、そうした人材が必要となる背景からスタートした。松浦氏が例として挙げるのは、9月にロックバンド「U2」が世界5億人のiPhoneへ新アルバムを直に配信した“騒動”。これまでCD売り場で買っていた楽曲が、アーティストから直に届いたのだ。松浦氏は「私はファンなので嬉しかったが」と会場を和ませつつ、「つまり、メーカーが、これまで小売店の影に隠れていた消費者と、本当にダイレクトな関係を築けるようになったことの表れ」と指摘する。

各分野で成功を収めている企業はすでにそれを実感している。そして、「いち早く“ダイレクト体質”に変貌を遂げている」という。

では、消費者に現場のマーケターはどのように向き合えばいいのか。「まずは顧客とのリレーションを“面”で見ること」と松浦氏は言う。「関係を築いた数に加え、関係を維持できている期間を見る。顧客生涯価値の考え方は周知のとおり」。

そこに「顧客ロイヤリティの変化」を加える(図参照)。「惰性で買っているだけで、きっかけ次第で離脱する顧客もいれば、自身の購買額は少なくても、周囲に商品を勧める熱心な顧客もいる。個々の顧客がどう商品・サービスに向き合っているのか? ロイヤリティの深度を見極めることにこれからのダイレクトのカギがある」。

ロイヤリティが高いということは、商品に物そのものの価値以上のバリューを見出しているということ。それは、購買を続ける大きな動機づけにもなる。「だからこそ、私たちは顧客のステータス(状態)を把握しなくては。これは、サービスを向上させ、ロイヤリティを高め、買い続けてもらうための、マーケティングの原点回帰」と指摘する。

顧客に直に会う、話を1分でも長く聞く、そうして顧客がいまどんなステータスにあるのか、ステータスが変化するきっかけは何かについて気づきが得られるはずだ。「担当領域がアナログであれデジタルであれ、顧客から発見を得よう、それを商品開発やサービス向上に生かそう─こうした意識の持ち主こそ、顧客志向の“ダイレクト体質”のマーケターではないか」。

これまでのリレーション。
関係性を築いた人数のみをとらえている。ある一時点での購買数に同じ。

「購買数」×「顧客との関係を維持している時間」で、リレーションを面積でとらえる。

カスタマーリレーションの3次元化。
ロイヤリティの高低も時間を追って変化するので、本来はもっと有機的で入り組んだ形状になる。

顧客の声は現場で聞くサービス向上が第一手

「私が実践しているのは、まずリアルの声を聞くことです」。こう口を開いたのは、第一部に登壇した「ネスカフェアンバサダー」を担当する津田氏。同社は全国で、ネスカフェのコーヒーマシンを広める「アンバサダー」との交流会を開いているが、ビジネスユニット部長を務める自身が足を運んでいる。

実際に聞いた声が多くの顧客に通ずることなのか、データで検証していく。加えて、顧客の声を効率的に集めるシステムの構築にも着手した。「まだ開発中だが、お客さまがソーシャルメディアで発信している内容を集め、ロイヤリティの度合いを測定するような取り組み」と明かした。

「ロイヤリティ醸成には、やはり何よりもサービス向上」というのは、東急ハンズ ITコマース部長執行役員の長谷川秀樹氏。壇上ではこれまでに取り組んできた、店舗とネットの統合を目指した数々の施策を紹介。

在庫情報確認サービス、ネット取り置きサービス、リアル店舗での「お気に入り」登録サービス…と並ぶが、「お客さまの要望が多い順に、片端から解決する」と優先順位は単純明快だ。「一つひとつは小さなことかもしれないが、やはり積み重ねがロイヤリティにつながる。また、こうしたサービス整備がなされていなければ、例えば、コミュニティをつくってロイヤル顧客を育成するといった施策も上滑りする」と指摘する。

顧客同士のコミュニケーションからの視点で語るのは、西武鉄道 鉄道本部運輸部スマイル&スマイル室 新規旅客創造担当の中山寛氏。8月に人気マンガ『進撃の巨人』とタイアップした施策は、埼玉県・秩父駅に多くのファンを集めた。記念撮影する様子などファン同士の交流は、ソーシャルメディア上でも広まった。「リアルの場でしかできない体験を提供し、その体験を、ネット上のファンと共有してもらうことで、西武鉄道に対するイメージ変容にも効果があったと思う」と振り返った。

西武鉄道のようなコンテンツを活用した企画など、社外と組んだほうが、ロイヤリティを深められる施策が打てることは多い。提供する商品・サービスが異なれば、似た顧客層を持つ他社とコラボレーションすることは難しくないはずだ。「あくまで向き合うのは互いの顧客。他社と組み、提供するサービスの幅を広げるための共同企画ととらえればいい」とは大広の松浦氏の弁。

提供するサービスの体験価値は、最終的に商品価値を高めてくれるもの。そしてサービス提供のタイミングこそ、顧客から意見を聞きやすい場面でもある。ロイヤリティ向上企画で自社は何を提供できるか、他社の力を借りたほうがいい点はどこか、それこそ声をダイレクトに拾い上げながら、企画していきたい。

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