アパレル大手のクロスカンパニーは、主力ブランド「アース ミュージック&エコロジー」を中心に国内外で1000店舗強を展開する。2010年、宮﨑あおいを起用したテレビCMを開始するなど、業界を先駆けた取り組みに挑む同社。2013年度はグループ売上高1000億円を突破した。販売スタッフ全員を正社員として雇用し、充実した研修システムのもとで接客のスキルを磨き、顧客継続率の向上を目指す。

クロスカンパニー 代表取締役社長 石川康晴氏(いしかわ・やすはる)
1970年岡山生まれ。94年にセレクトショップを開業。95年にクロスカンパニーを設立。99年にSPA(製造小売業)へと組織転換し、業績をさらに伸ばす。内閣府男女共同参画局推進連携会議議員。社会人学生として2013年岡山大学経済学部卒業。現在、京都大学大学院在学中。
貴社にとって現場力とは?
現場にいる販売スタッフは、お客さまに最も近いところで商品の価値を伝える「メディア」だと考えています。お客さまに来店していただくまでには、リサーチをもとに魅力ある商品を開発し、テレビCMや雑誌広告で訴求するといった道のりがあります。それら全ての努力を結実させることができるかどうかは、現場の販売スタッフが、いかに商品の価値を伝えられるかにかかっています。
また、販売スタッフは「カウンセラー」でもあります。お客さまが洋服を選ぶ時には、例えばふくらはぎや二の腕、身長や体型など、自分のウイークポイントを洋服で補整したいという思いがあります。そういった思いを聞き出し、正確に診断して的確にアドバイスすることも販売スタッフの重要な仕事です。
販売スタッフがメディアやカウンセラーの役割を果たすことが、競合他社との差異化につながり、現場力となります。ところがアパレル業界では、販売スタッフをコストとみなし、新人スタッフの教育を現場のOJTに依存する慣習もはびこっています。
貴社には、販売スタッフに向けたどのような教育プログラムがあるのでしょうか。
徹底的に基礎を教える3泊4日の新入社員研修と、入社3カ月以内の中途採用者向けの3泊4日の研修を実施しています。新入社員と中途採用者の研修内容は同じで…