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アメリカ現地レポート 顧客・市場へのアプローチ戦略

ティーンズ~ミレニアム世代を狙う――進化続くソーシャルショッピング

藤原栄子

常に最先端のプロモーションが行われ、世界から注目されているアメリカ。そこでいまヒットしている・話題になっている商品や店舗は、どんなプロモーション戦略の下で行われ、どんな工夫がなされているのか。消費者に受け入れられている理由を、現地から毎月レポートする。

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Macy'sは9月9日に開催された、音楽とファッションのライブイベント「Fashion Rocks2014」に協賛。ランウェイを歩く有名人たちの服をリアルタイムに買える施策を実施した。

前年対比、ブランド価値が383%増Macy'sのデジタル戦略最前線!

ブランドコンサルティング会社・インターブランド社が北米とヨーロッパの小売企業のブランド価値を調査した結果によると、前年と比較して2014年に最もブランド価値を高めたのは米国デパートMacy'sであったという。インターブランドは「時代を先行して進めるデジタル販促戦略と、モバイルアプリケーションを巧みに活用した『m-commerce=Mobile Commerce(モバイルコマース)』の成功によるところが大きい」としている。

もちろんMacy'sにかぎらず、多くの小売業者がモバイルコマースを活用している。その中で、Macy'sが他社と異なるのは、「オンライン上の売り上げを高めるため」という目的だけでなく、「リアルでの販売を促進する」という目的も叶えようとしている点だ。

同社は、早くから二次元コードによる商品情報の提供や店舗内の位置情報サービスやiBeaconによる店内プロモーションを活用して、顧客の店舗内(オフライン)の購買体験をより快適なものとするためにモバイルを積極的に活用している。モバイルの活用は、オンライン上で商品を購入してもらうためだけに活用されるべきツールではないというわけだ。

9月9日、Macy'sはニューヨーク・ブルックリンで開催された音楽&ファッションのビッグイベント「FASHION ROCKS」のオフィシャル・ファッション・パートナーに名乗りを上げ、初めての試みとなるライブショッピング&モバイルコマースによる秋のマーケティングキャンペーンを行った。

ショーの様子は米CBSテレビで放送されたが、ちょっとした仕掛けがあった。Macy'sは、楽曲や音声を元に曲名やテレビ番組情報を検索するスマートフォン向けアプリ「Shazam」と連携したのだ。Shazamを活用すると、テレビから流れる音声をもとに、放送中のシーンを特定できる。つまり、ランウェイを歩く歌手で女優のジェニファー・ロペスや、オランダの人気音楽プロデューサー・アフロジャックを見ながら、Shazamを起動すれば、ちょうどテレビに映っているセレブリティが着ている服が買えるサイトにアクセスできるという仕組みだ。もちろんMacy'sのモバイルサイトに直接アクセスしても服は買える。

「『FASHION ROCKS』でShazamを活用し、テレビのショーを見ている観客にモバイルコマースを仕掛ける試みは、今後我々が進めようとしている、デジタル&モバイルマーケティング戦略の中で『顧客が望む情報を顧客が望むタイミングで提供する』ライブショッピングの良いスタディとなった」とMacy's メディアリレーション・ディレクターのオーランド・ヴィラス氏は語る。

YouTubeチャンネルを活用した学校対抗ダンスコンテスト

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2014年の、長期休暇明けの学生向けセール「Back to schoolキャンペーン」では、アーティストの楽曲を「口パク」してミュージックビデオを作るコンテストを学校対抗で開催。

モバイルキャンペーンで業界をリードするMacy'sは、昨年、そして今年と2年続けて…

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