行列に並んで買ったもの、何度も訪れたくなる店......。そうした日頃の消費活動から、商品・サービスを知ったきっかけや、お気に入りの理由を探ります。今回は、かつて製菓会社で商品企画に従事していたこともある、小説家の柚木麻子さん。特に食に対しては、独自の評価軸を持っています。そんな柚木さんが気に入っている店や商品には、どのような魅力が詰まっているのだろうか。
企業で商品開発を担当した経験もある柚木氏。「最近見つけたお気に入りのものは?」の質問に、商品名や店舗名が次々とあがってきた。
行列に並んで食べたハッピーになれる味
――最近見つけたお気に入りの店や商品はありますか?
作家になる以前は、製菓会社に勤めていて、その当時は商品開発担当として、食に関するマーケティングなどを行っていました。
最近出会った面白い食べ物は、「クロワッサンたい焼」。初めは、ステマかと思うほど方々でコメントを見かけていたので、自分はのらないぞ、と思っていたんです。でも、心をエグられるような話題の新刊を読んでいた時に、友だちの作家さん宛てに「読むだけで自分はなんてダメな人間なんだろうとエグられる本があって、心の準備がないと読めないの」とメールをしたら、「クロワッサンたい焼でも食べないとやってられないね」と返信があって、気になり始めました。
後日、新宿にあるクロワッサンたい焼のお店の前を通りがかったら行列ができていたので、並んでみたんです。しばらく待ってようやく買うことができて、食べてみたらザラメがついていて、甘じょっぱい味で、中にはずっしりとアンコが入って、外はカリカリとした触感。とってもハッピーな気持ちになれるんですよね。