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シニアプロモーションの現場

なぜシニア市場が注目されるのか?

流通ジャーナリスト 西川立一

シニアマーケットの現状とは?

2013年には、団塊世代が65歳に到達、4人に1人が65歳以上の高齢者となった。すでに60歳以上の高齢者世帯の年間消費支出が100兆円を超え全体の4割以上を占め、シニアマーケットは消費の主役に躍り出て、これからも高齢化が進行する中で拡大が続く。さらに、2035年には3人に1人が高齢者という超高齢化社会を迎えると推計されている。

一方で少子化も進み、人口も減少、全体のマーケットは収縮、いままで消費をけん引してきた若者、ファミリーもパワーダウン、シニアが消費のリード役となろうとしている。

こうした状況を受けて、メーカー、流通、サービス、あらゆる業種・業態が、シニアに注目し、シニアシフトを強めている。医薬品や健康食品、介護用品は言うに及ばず、商品やサービスの開発において、シニアを意識した取り組みが活発化している。

ただ、こうした展開は必ずしもうまくいっているわけではない。その理由の一つと考えられるのが、ターゲットとしての「時間もおカネもあるゆとりのある」シニア像と、現実とのギャップである。実際は、60歳~64歳で男性71.3%、女性44.5%が仕事に就いており、65歳~69歳でもその比率は低下するものの、それぞれ46.9%、27.8%となっており、70~74歳でもなお男性の19.7%、女性の8.6%が働いている。(図1 平成24年労働力調査)。

もちろん、再雇用やパートタイマーなどで現役時代より時間にゆとりのある人も多いが、完全リタイア生活と比べれば、自由度はかなり狭まられる。おカネの面でも現実は厳しい。個人資産1600兆円の約6割を60歳以上が保有しているとされているが、その実態を見てみると、すべての人がゆとりがあるわけではない。平成23年の家計調査によれば、高齢者世帯の貯蓄高で、37.4%が1000万円未満、1000万円以上~2000万円未満22.1%、2000万円以上~3000万円未満が15.5%、3000万円以上が24.9%となっており、ばらつきがある(図2)。

しかも、貯蓄の主な目的は「病気介護の備え」が62.3%、「生活維持」が20%となっており。「豊かな生活・趣味」は4.6%、旅行・買物は1.6%にすぎない。老後の不安は大きく影を落としており、財布のひもはなかなか緩まないのである(図3)。

時間もおカネもゆとりのあるシニアは少数派で、時間にゆとりのないシニアも多く、時間とおカネもないシニアの存在も決して少なくない。富裕層といえるのは数%、広義の貧困層も10%超え、階層化が顕著、そのうえ、中間層も決して所得水準が高いとは言えない。

こうした現状を把握したうえで、ターゲットを設定し、アプローチしていくことが求められている。

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