向井育子氏(左)
食品事業本部家庭用事業部 新領域開発グループ専任課長
1993年入社、広告部でクリエイティブを担当後、2006年から調味料部(現家庭用事業部)でマーケティングを担当。趣味はトライアスロン。
谷口 基氏(右)
同事業部販売マーケティンググループ 兼 開発マーケティンググループ
2004年入社、最初5年間大阪で家庭用営業をした後に09年より調味料部(現家庭用事業部)に異動し現在に至る。趣味は、料理、家庭菜園、DIYと、向井同様トライアスロン。
家庭でプロの中華料理の味が作れるのが強みの汎用中華調味料。競合商品が圧倒的なシェアを占めていたこのカテゴリーで、ユーザーニーズを細かくすくいあげて開発・発売したところ大ヒット。調味料としては珍しいチューブ型のパッケージを採用し、片手でも絞り出せる使い勝手の良さを実現。新たなユーザーを掘り起こし、市場全体の活性化につながったと流通からの評価も高い。
今回の仕掛け人は、食品事業本部家庭用事業部新領域開発グループ専任課長の向井育子氏と、同事業部販売マーケティンググループ兼開発マーケティンググループの谷口基氏。名古屋エリアでの先行販売において、店頭での試食販売、野菜売り場での関連販売、中華フェアでの陳列といった施策の効果を検証、その成功事例を全国へ広げていった。
2011年8月、名古屋エリアを中心に地域限定で先行発売し、翌年8月から全国発売。「香味ペースト」と「香味ペースト[辛]」の2種類がある。
チューブ型パッケージで市場シェア奪回を図る
──「Cook Do®」香味ペーストを開発するにあたって、注目した市場や消費者の動きはありましたか。
向井▶ この商品カテゴリーであるペースト状の「汎用中華だし」では、以前から競合商品が強く、当社商品の市場シェアが10%未満であるのに対して、競合商品の「味覇(ウェイパァー)」が80%を占めている状態でした。簡単にプロの中華料理の味が再現できるとあって、市場としては伸びており、私たちももっと伸ばしていきたい分野でした。消費者調査を行ってみると、従来の缶タイプの商品は「料理中にふたを開けにくい」「冷蔵庫に入れておくと中身が固まって使いにくい」「量が多くて使い切れない」といった未充足のニーズがあることが判明。それならば女性でも片手で絞り出せて、しかも手軽にプロの味が出せる商品ができれば売れるのではと考えたのが、新商品開発のきっかけです。
──それでチューブ型にしたのですね。
向井▶ そうですが、その前にまずは柔らかいペースト状にするのに苦労しました。パッケージについては、チューブを含めていろいろな形状を検討しました。開発陣はチューブがいいのではと思っていましたが、チューブの調味料はこれまでになく、「食品なのに歯磨き粉のようでは売れない」「高級なイメージが必要なのにチューブでは安っぽく見えてしまう」と、当初社内では大不評でした。ただ私は、以前パッケージデザインと広告を担当していた経験から、チューブであってもデザインを工夫すれば高級感を持たせられるという確信がありました。それにユーザーに面白いと思ってもらうためには、「なんだろう?」と目を引くデザインは大事だと思っていたのです。