国内最大級のファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイは2013年10月末、ファッションコーディネート検索サービス「WEAR」をリリースした。店頭でのバーコードスキャンを起点に、ECサイトにアクセスできる機能も持つことから、ショールーミングの加速を懸念する動きもあるが、同社が目指しているのは短期的な利益増加ではないという。その狙いはどこにあるのか。
店頭商品のバーコードをスキャンすると、ゾゾタウンやブランドの自社ECサイトの商品ページに接続。商品情報の閲覧や購入ができる。
WEAR経由によるゾゾタウンの売り上げは月1億
「WEAR」の機能は主に四つある。ユーザーが日々投稿するコーディネート写真を検索・閲覧できる「コーディネートレシピ機能」と、持っているアイテム情報を管理できる「マイクローゼット機能」、ユーザー同士がコミュニケーションをとれる「SNS機能」、そして、店頭商品のバーコードをスキャンするとその商品のコーディネート写真や、ゾゾタウンやブランドの自社ECサイトの商品ページにアクセスできる「バーコードスキャン機能」だ。
2014年2月中旬時点の参加ブランド数は2000以上で、店舗数は3500店を突破。ユーザーが自らのコーディネート写真を投稿する際、参加ブランドのアイテムであればWEAR上でその商品を探し、コーディネートとともに商品情報を登録しておくことができる。そのため閲覧者は、コーディネートを参考にしながら商品の購入を検討できる。
こうした利便性が受け入れられ、WEAR経由によるゾゾタウンの月間売り上げは、現在約1億円にまで増えている。
また、コーディネート検索や店頭でのバーコードスキャンで取得した商品情報を「セーブ」しておくこともできるため、例えば「店頭で購入を見送った商品を、後で欲しくなった時にECで注文する」といった購買スタイルを提供する。
同社 WEAR事業部ディレクターの久保田竜弥氏によると、こうした既存機能に加え、今後の実装を予定しているのが位置情報の活用だ。これにより、例えばセーブ中のアイテムを販売している店舗に近付くと、プッシュ通知でリマインドしたり、試着を促したりして購買を後押しするような機能も検討しているという。
スマホアプリとウェブサイトで利用できる。「コーディネートレシピ機能」や「マイクローゼット機能」が特徴。ゾゾタウンと連携すると、購入アイテムが自動的にマイクローゼットに保存される。
コーディネートレシピから気に入ったアイテムを選び、ゾゾタウンをはじめとする約45のECサイトで購入することも可能。
小売業にとってのメリットは「ウェブ接客」による顧客開拓
こうした機能はユーザーの購買動機となるため、商品を卸しているブランドにとっての参加のメリットは分かりやすい。「仮に、直営店舗の顧客がWEAR経由でECに流れても、WEAR上で顧客接点を持つ方が有益」と考えているため、2000以上ものブランドが参加している。