店内では顧客インサイトに基づいたさまざまな施策を実施
同社が毎月実施する「潜在需要発掘研究会」には、各店の店長も出席。そこで交わされた議論を聞いて自身の店舗で実践。現場が結果が出る楽しさを知ることで、成果につなげている。(写真:朝日ヶ丘店)
北九州で展開する「サンキュードラッグ」では、個人に紐づいた購買データ、ID-POSを活用し、毎月メーカー担当者や店長など300人以上が参加する「潜在需要発掘研究会」を実施している。
違うカテゴリーでありながら、同じような顧客インサイトで買われていた商品群を発見し、互いに送客する企画・アイデアを出し、店頭実施することで、成果を高めている。
平野社長に「顧客インサイトを捉えた売り場づくり」について聞いた。
代表取締役社長 平野健二氏
ひらの・けんじ/1959年生まれ。一橋大学商学部卒業後、サンフランシスコ州立大にてMBA取得。大手製薬メーカーを経て85年サンキュードラッグに入社。2003年より同社代表取締役社長。07年 北九州市産業雇用戦略会議審議員に就任。著書に『これからのドラッグストア・薬局ではたらく君たちに伝えたいこと』(ニュー・フォーマット研究所刊)がある。
─消費者にとってよりよい売り場を、メーカー、流通が一体となってつくるために重要なのは?
スーパーマーケットでは、カテゴリーに関係なく関連する商品を一つのコーナーに並べる「クロスMD」がよく行われます。しかしドラッグストアの場合、売り場をクロスさせてくっつけてしまうと、医薬品と化粧品と雑貨から商品が出てきて、何の売り場なのか分からなくなってしまうことがあります。もちろん、素直にクロスMDができる場合もある。でも押さえるべきなのは、クロスしている、つまりカテゴリーを越えているのは「商品」ではなく「お客さまの悩みや課題」であるということ。だから、ドラッグストアでの商品陳列は、一緒に並べるよりむしろ別々の方がいい場合も多いのです。
例えば、ある一つの悩みの解決に役立つ商品A、商品B、商品Cという違うカテゴリーの商品があったとします。商品Aを買っているお客さまの中には、商品B、Cが解決に役立つのを知らず、まだ買っていない方もいる。ならば、これらを紹介すれば、買う可能性は高まります。