“じぶん”研究から生まれたユニークな文房具
ブンケン
広告制作会社サン・アドによる文具ブランド「ブンケン」が始動開始。今年4月に、4つのプロダクトが発売となった。いずれもユニークなネーミングとデザインが目を引く。これらのプロダクトはすべて「じぶんを研究すると、みんなが喜ぶ」という仮説のもと、つくられている。「これは私たちにとって広告とは違う、新しいものづくりの可能性を探る試みでもあるんです」と話すのは、同社クリエイティブディレクター 笠原千昌さん。
「ブンケン」とは、「文具研究会」の略。同社の若手を中心に、デザイナー、コピーライター、Webディレクターなど、さまざまな職種の人たちが参加している。毎月2回の定例会開催時には、メンバー各人が「毎日の生活の中に、こんなものがあるといい」と思うものをアイデアとして持ちより、それを個々人が独自に研究し、プロダクトとして具体化していった。
ブンケンの出発点にあるのは「なぜ?」「どうして?」「なんのために?」という個人の直感や違和感、そして疑問である。「ほんのささいなことかもしれないけれど、そこを出発点にすることで、逆に多くの人の気持ちに触れるものができるのではないかと考えました。広告をつくるときに感じていることを、ふだんの仕事とは切り離されたブンケンという活動の中で証明したいと考えています」。サン・アドという会社ならではの人材を生かして、さまざまな視点からの意見を取り入れながら、商品化を進めた。
まさに“ブンケンならでは”というプロダクトは、「OKANE KAESHITE」だ。これはその名の通り、返金催促用メッセージカード。これは「お金を返してもらえず、どう切り出したらよいか悩み、貸した人の方が気を遣う」という不思議な現象を解消するために開発された。百人一首風、マンガ、タクシーの表示、絵解きなど、さまざまなデザインとメッセージで楽しく「お金を返して」と伝える。「広告の仕事での考え方や目線が、こうしたコミュニケーションにも生きています」と、笠原さん。ブンケンのプロダクトは現在、オンラインを中心に販売中だ。
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