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幾何学×伝統紋様「市松」エンブレムに秘められたデザインの可能性

紋様の応用から生まれたエンブレム 展開案に大きな期待が集まる

異例の決定プロセスを経て、東京2020大会のエンブレムに選ばれたのは、「市松模様」をベースにしたデザインだった。作者は、幾何学的なアプローチから紋様の制作を行うアーティストの野老朝雄さん。幾何学的であり、かつ伝統的でもあるというユニークさを持ったこのエンブレムには、どんな考えのもと作られ、ここからどんな展開が考えられるのか。

4月25日に開催されたエンブレム発表会。作者の野老朝雄さんと共に、エンブレム委員長の宮田亮平文化庁長官らが登壇した。

「東京2020 大会エンブレム」が、ついに決まった。2015年9月の旧エンブレムの白紙撤回後、7カ月間あまりを費やしての決定。1万4599件もの膨大な数のエンブレムを公募し、選定には国民からの意見約11万件も参考にするという、前例のない決定プロセスへも視線が注がれた。

エンブレムに選ばれた「組市松紋」の作者は、野老(ところ)朝雄さん。建築出身のアーティストで、2001年、米同時多発テロをきっかけに独学で紋様の制作を始めた人物だ。野老さんの紋様のテーマは「つなげる」で、1つのパターンの紋を縦横左右どのようにつなげても成立するのが最大の特徴となっている。さらに、それらを定規やコンパスで再現可能な、単純な原理に基づいて制作していることで知られる。建築のファサードパターンなどへの応用や、ファッションブランドのイッセイミヤケとのコラボレーションなどの実績を持つ。

野老さんのデザインしたオリンピックエンブレム・パラリンピックエンブレムはいずれも、日本では江戸時代から「市松模様」として親しまれてきたチェッカーデザインをベースに、日本の伝統色である藍色を用いて表現したもの。形の異なる3つの四角形を45点用い、組み替えることで、各エンブレムの形状をなす。3種類の四角形は、国や文化・思想などの違いを表し …

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