広告界30代クリエイター座談会「僕らは、次のデッカイ旗をつかみに行けるか!?」
現場で第一線を走る30代。クライアントとの向き合い方が変わり、自身の専門性や知見が問われるようになる。これからのキャリアをどうつくっていくか、その足固めをする時期でもある。3人のコピーライターが集まり、“次の一歩”の踏み出し方を探った。
55周年特別企画 クリエイティブ未来会議
いま広告界は、未来を担う若手クリエイターたちの目にどのように映っているのだろう。世代別会議は、コピーライター、プランナーとアートディレクターによる20代5人のトークからスタート。この大きな変化の時期に広告界に入ってきた彼らは、広告の仕事に何を感じ、どんなやりがいを見出しながら、日々の仕事に取り組んでいるのか。
小堀▶ 僕は関西育ちで、大学では彫刻を専攻していました。当時教わっていた先生がなかなか本心のつかめない人で、何をどう彫るか決める過程を知りたかったのに、いつも煙に巻かれちゃうんですよ。そこから企画ってどうやるんだろうと思うようになり、企画のプロセスがよく見えそうな広告の仕事に興味がわいて、電通関西支社に入りました。今はCMプランナーと並行して、「デイリーポータルZ」のライターもしています。会社では、Webで話題にしたい案件を担当することが多いです。
ウイスター▶ 私はアメリカの大学でグラフィックデザインの勉強をしていましたが、学校ではそれを仕事にする方法は習いませんでした。だから、クリエイティブをビジネスにする方法が知りたいと思って、広告の仕事を選びました。同時に、日本語も勉強したかったので、日本に来て広告会社に就職しようと思ったんです。オグルヴィはコンパクトな組織であることもあり、日々色々な経験を積ませてもらっています。
タルボット▶ 日本育ちのタルボットです。僕は広告業界に行きたいと思っていたわけではなかったんですが、学校の先生に「広告会社を受けてみたらいいよ」と言われたのがきっかけです。OB訪問でも、確かに広告会社の人に一番面白がられるので、自分に合っているのかなと思って、博報堂に入社しました。以前はアートディレクターの榎本卓朗さんの下で、マス広告を中心に経験をさせてもらい、今は榮良太さんについて、グラフィックデザイン系の仕事を中心にしています。
谷▶ 私はマスコミ全般に興味があって、出版社なども考えていました。でも、電通のインターンに参加して、社会的な課題にコミュニケーションの力で取り組んでみるのがすごく面白かったんです。講師も熱い方ばかりで、それで本格的に興味を持ちました。その一方で、広告会社はバカバカしいことを本気で面白くやれるのもいいなあと。言いづらいのですが、私はアニメやゲームが好きで、今はいわゆる“オタク”層に向けた企画をやらせてもらうことも多いです。
押部▶ 子どもの頃に、私の考えた遊びのせいで学校でみんながトイレットペーパーを持っていってしまうようになり、やめるよう促す注意書きのポスターを作ったのですが、全く効かなくて。そこで、訴求ポイントを“自分が困るのだ”ということに変え、必ずリーチできるようトイレットペーパーを取ったら飛んでくる工作物に書いたところ、持って行かれなくなったという体験をしたんです。それが「伝え方を工夫する面白さ」を知った最初の出来事で、そういうことを仕事にしたいと、業界に入りました。
ウイスター舞野(ういすたー・まいや)
Ogilvy&Mather ジュニアアートディレクター。1991年三重県生まれ。6才でカリフォルニアに移住。サンフランシスコの美術大学を卒業後、Ogilvy&Mather入社。主な仕事にウォーターブランドのCMなど。
小堀▶ 僕はテレビCMとWebコンテンツの2本柱で頑張ろうと思っています。電通関西支社には昔から面白CMを作っているチームがあるのですが …