「うちで踊ろう」(2020年、星野源)他
名言ヅラしていなくて、みんなのおもちゃになるようなコピーが好きです。「ダッダーン」は幼稚園でゲラゲラ笑いながら真似していた、原体験とも言えるコピー。当時はダダンというのが商品名だということも知らず、ただ語感が面白くてひたすら繰り返していたのですが、それってコピーの究極の到達点ではないかと思うのです。意味がないけれど魅力的な言葉には今でも強い憧れがあります。
名作コピーの時間
2000年マクドナルド/1985年
○C/日暮真三アコム/
良品計画/1980年
コピーは広告という経済活動で使用される言葉。だと考えれば、コピーの目指す究極は「そのコピーが市場までつくる」ことではなかろうか、とふと気づいたのは5年前くらいに月島のマクドナルドの前を通ったとき。「朝マック」という国民誰もが知っているコピーを見たときです。
作者不明ですが、この言葉を作った誰かは明らかに巨大な市場を1つ生み出した。重要なのは、「朝、マックを食べよう」ではない、ということ。「朝マック」というコンパクトな一単語にまとめた、という点です。「朝、マックを食べよう」でも成功したでしょうが、「朝マック」の一単語の破壊力はなかったはず。「朝マックする」「朝マックしない?」「今朝は朝マックしてきた」と一貫して色々な人が各自の生活文脈の中で同じ一つの言葉として使える点が見事。同じ言葉をみんなが大衆的に使うことの価値はものすごい。人間は1日3度しか物を食べません(夜食入れて4度)。そのうち2回にしかなかった市場を3回にした。単純に市場機会を1.5倍にした、と言える。
そんな意識で街を歩くとまだまだ見つかりました …