包む目的が機能美を生む考え方のヒント
日本の伝統的なパッケージを集めた写真集『HIDEYUKI OKA HOW TO WRAP 5 MORE EGGS』(John Weatherhill) と出会ったのは私が30歳の頃。当時働いていたデザイン会社、ドラフトのライブラリーで、パッケージ関連の資料を探していたとき目に留まり、手に取ったのが最初だったと思います。
デザインの見方
いまから20年ほど前、まだ学生だった頃。駅から自宅までの帰り道で、飲料の自動販売機が目に止まりました。その側面には、今まで見たことがないアメコミ風のイラストが描かれていたんです。それを見た瞬間に、僕は思わず「あ、ペプシマンだ」と言いました。
ペプシマンはコミカルなテレビCMが話題になりましたが、そのときはまだ見たことがなく、名前も知りませんでした。ただ、人の形をしたペプシコーラだから「ペプシマン」だろうと、ごく自然にそう思ったのです。その後、駅貼りポスターやテレビCMを見て、本当に「ペプシマン」という名前のキャラクターであることがわかりました。当時、僕は大学3年生で、広告業界を意識し始めた時期。でも、ペプシマンを知った当初は、大貫卓也さんが手がけたことは知りませんでした。
ペプシマンのコミュニケーションで一番衝撃を受けたのは、とにかくペプシコーラが新鮮でかっこよく見えたこと。もちろんその背景には緻密に考えられた理論や戦略があるはずですが、パッケージや味はそのまま、商品を再定義しただけにも関わらず、大きく印象を変えたことに何よりも驚きました。昔から変わらないペプシコーラを新鮮に見せるためには、何かしらのニュースが必要だったはずです。その施策が、ペプシコーラ自体をキャラクター化するというアイデア。それがとても斬新でした。しかも、インパクトだけで終わらず、「売れた」という実績も残しています。一連のクリエイティブの流れを知ったとき、世の中に必要なことをぎゅっとまとめて、ニュースとして発信する――そんな仕事がしたいと思うようになりました。
かつて一度だけ、大貫さんと仕事をご一緒させていただいたことがあります。ソフトバンクが携帯電話のサービスを開始したときの広告に ...