淡路島や小豆島など、これまでも地域の仕事に取り組んできたgraf代表の服部滋樹さんが昨年、滋賀県のブランディングを担当すると発表された。数々の企業のブランディング、そして各地域で培った体験はどう滋賀県の仕事に生かされているのだろうか。
服部滋樹(はっとり・しげき)
1970年大阪府生まれ。graf代表、クリエイティブディレクター、デザイナー。美大で彫刻を学んだ後、インテリアショップ、デザイン会社勤務を経て、1998年にインテリアショップで出会った友人たちとgrafを立ち上げる。建築、インテリアなどに関わるデザインや、ブランディングディレクションなどを手がけ、近年では地域再生などの社会活動にもその能力を発揮している。京都造形芸術大学芸術学部情報デザイン学科教授。
県内と県外からの評価に
大きなギャップ
2014年11月、滋賀県の魅力を新たな視点から発信する「滋賀・びわ湖+DESIGNプロジェクト(現『湖と、陸と、人々と。MUSUBU SHIGA』)」のブランディングディレクターにgraf代表の服部滋樹さんが就任すると発表された。服部さんが滋賀県に関わるようになったのは、約6年前から。滋賀県在住の若手農業家と農業の未来を考える「田園ドリームプロジェクト」に参加したことがはじまりだ。その取り組みの一環として開催されたトークイベントにて、当時の滋賀県知事・嘉田由紀子さんと出会い、彼女の滋賀に対する思いを聞き、プロジェクトを構想した。
滋賀県の課題は明確で、県民と外部の人が抱く滋賀県へのイメージに大きなギャップがあることだった。「嘉田前知事に最初に見せてもらった地域ブランド力の全国ランキング(日経リサーチの地域ブランド戦略サーベイ)で、滋賀県は39位。でも、県民は“豊かな滋賀”と自負していて、なぜそのよさが伝わっていないのかと本気で悔しがられていました」。2012年に日本総合研究所が発表した県都道府県別幸福度ランキングでは、滋賀は全国5位。県民が抱く幸福度や満足度は確かに高い。
このギャップの要因として …