増田幸弘
『棄国ノススメ』
(新評論)
ヨーロッパのスロヴァキア共和国に暮らす記者 増田幸弘さんのエッセイは、少し刺激的なタイトルだ。「増田さんからはタイトルの言葉、文字がすこし強いので書体などでやわらかくしたい。若い人に手にとって読んでほしい、という要望がありました」と、デザインを手がけた立花文穂さん。著者とはチェコの美術館の展覧会を通じて知り合い、依頼を受けた。「本をつくるとき、ビジュアルよりも、まず手にしたときの触感を大事に考えます」と、立花さん。今回は使用できる本文用紙が限られていたので、しなりや開き、重さを見ながら、カバー用紙など相性のよい紙を選んだ。
束見本完成後に、タイトルなどのカバー周りのビジュアルを考え始めた。「タイトルは、あまり大きい声にならないよう、しかし、ささやくでもなく…というようなニュアンスになればよいと思いました。堅い内容に見えないようにやわらかく、派手すぎず、だけどラディカルな印象にビジュアルを近づけていきました」。新聞書評などで、この本に対する注目が少しずつ集まりつつある。
三戸なつめ
「前髪切りすぎた」
(SMAR)
関西の人気のモデル 三戸なつめさんがCDデビュー。中田ヤスタカさんによるデビュー曲「前髪切りすぎた」のプロモーションを、電通関西クリエイティブディレクター 日下慶太さんが担当している。「11人のディレクターが全く異なる内容のPVを11本制作していたので、音源のパッケージはあえて世界観を作りこまず、曲そのもの=三戸さんそのもので行こうと考えました」と、CDのデザインを手がけた市野護さん。
タイトルをシンボリックに表現したいと考え、CDの盤面に顔を配置し、まさに“三戸さんそのもの”のジャケットを完成させた。「CDは必須要素が多いので、それらを入れながらも、できるだけ三戸さんに見えるように注意してレイアウトしました」。帯にも本人の髪の毛を撮影したものを使用し、ブックレットの歌詞の縦書き部分も前髪状にレイアウト。また、PVの世界観をつめこんだコラージュも制作、すべてにおいて“三戸さんらしさ”を貫いた。発売後、Instagram等には、お面のようにCDを顔に当てて写真を撮影したファンの投稿が相次いだ。
『365 日FC 東京』(東京中日スポーツ)
『ベガルタ仙台365』(日刊スポーツ新聞社)
『アルビレックス新潟365』(新潟日報社)
『FCGIFU365』(岐阜新聞社)
2004年、東京中日スポーツはサッカーJ1「FC東京」を元旦から大晦日まで取材し、毎日連載する「365日FC東京」を開始した。そして昨年1月、2013年1年分の記事をまとめた冊子『365日FC東京2013』が発刊された。その中身はシンプル。東京中日スポーツに掲載された新聞記事をそのまま切り抜き …