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デザインプロジェクトの現在

食を軸に無限の想像力や創造力を引き出す “フードクリエイション”

川島蓉子

“フードクリエイション”を行っている諏訪綾子さんの仕事が、以前から気になっていた。“フードクリエイション”とは何なのか、諏訪さんは何を表現しようとしているのか、お話をうかがった。

01 2014年、金沢21世紀美術館の開館10周年記念として行われた
「好奇心の祝宴」でのゲリラレストラン
写真:Hiraku Ikeda

02 東京大学総合研究博物館と共に制作した「好奇心をあじわう小部屋」
写真:KIOKU Keizo

03 金沢21世紀美術館「好奇心のあじわい 好奇心のミュージアム」展より。
写真:Hiraku Ikeda

知的な「好奇心」としての食

諏訪さんのユニークな活動を知ったのは、アートディレクターの友人からの情報だった。独自性と創造性の高いパフォーマンスやイベントは、国内に留まらず海外からも注目されている。強い興味が湧いてきて、期待に胸膨らませてお会いした。格子柄がモダンなレースのブラウスに、タイトなスカートで現れた諏訪さんは、冴え冴えとした美しさと、優雅な物腰が身についた方、既にして、ただ者でないような雰囲気が漂っている。アーティスティックな“フードクリエイション”の活動は、諏訪さんという人の佇まいと見事に一致していた。

石川県羽昨市で生まれ育った諏訪さんは、幼い頃から、食の周辺に強い興味を持ち、さまざまな素材を調理して遊んでいたという。金沢美術工芸大学を卒業後、“フードクリエイション”という活動をスタートさせた。「食べることは生きること、あじわうことは進化すること」と諏訪さんはいう。これはどういうことだろうか。太古の昔から、人はさまざまなものを食べてあじわってきた。それは、空腹を満たす欲望だったり、美味しいという快楽を求める欲望だったり———。食は人間としての本能的な欲望と結びついている。諏訪さんが関心を抱くのは …

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