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CREATIVE RELAY

メイキングが本編!?意表をつく構成でCMをパロディ化

安達 亨(AC部)

クリエイティブリレーは商品やサービスの新しい表現を、複数のクリエイターとリレー形式で開発していく連載企画。NTT西日本の動画篇の3回目を担当してくれたのは、AC部の安達亨さんです。

濃厚でハイテンションなアニメ映像を作ることで知られるAC部が制作したCMは、意表を突いた「メイキング風」CM。広告に対する常識がこれでくつがえされる、かもしれません。

01 オリエン時の企画書



「メイキング風」篇

S: Making of NTT 西日本 コマーシャル
2015年2月
CM制作プロジェクト始動
最高のブレーン達が結集
現場はとてもエキサイティングよ
最新鋭の機材と人材を投入
アクション!
撮影は快調に進む
ダブルアクション!
これは最高のフィルムになる わくわくするよ
ポスト・プロダクションも順調だ
成功の予感に 私は酔っていた
だが、その油断が
うっかりコーラの中に
ミント・タブレットを入れてしまった
破裂したコーラが周囲の機材をなぎたおし
次々に別のコーラにも誘爆
撮影は打ち切りとなった
仲間はみんな離れていった
私はすっかり己を見失っていた
ぐわあっ これは…豆電球?
光って とってもきれいだ
こんなシンプルな感情も忘れていたよ
全てはもう手遅れさ
そんなことないわ
えっ おまえたち…
一歩ずつ またここから始めればいい
もう一度…もう一度 最初から作ろう
N T T 西 日 本
豆電球をひとつひとつ灯すように
光 ひろがる ひびきあう…
NTT西日本

CMのフォーマットをいじってみる

映像はNTT西日本のCMの企画会議から始まる。高層マンションの会議室、スタッフはなぜか全員外国人、撮影現場には最新鋭の機材が揃い、クリエイティブディレクターは成功の予感に酔いしれる…なぜ海外のメイキング風?と疑問に感じている間もなく、ストーリーは一転驚きの展開に突入し、最後には素朴すぎる「本編」で締めくくられる。めくるめく展開のCMだ。

このCMを制作したAC部の安達亨さんは、「『“光”。ひろがる。ひびきあう。』というお題をいただき、最初はとっかかりを探すのに苦労しました」と話す。「真面目に考えるとドツボにはまる予感がして…。そこで全く関係ないことから考えてみました。アイデアに困ると、よくそうしてトンネルを逆から掘っていくように考えます」。

そこで出たのが「CMを作れと言われているのに、メイキングを作ってしまう」アイデア。壮大なメイキング映像から、「光」をテーマにした素朴な本編に落とし込む。メイキングの方が嘘っぽいという本末転倒な面白さがポイントだ。「この案はプレゼンのC案。僕たち自身もこれがNTT西日本の広告として成立するかどうか、正直確信は持てなかったのですが、プレゼンを聞いた社員の方が、豆電球のアイデアを『小さいことをコツコツ進める自分たちの姿と重なる』と言ってくださって。そこで何とかつながった感じです(笑)」。

CMのメイキングは国内外さまざまなものを見て研究した結果、海外の気取った感じが面白いと感じて元ネタに採用。途中で出てくる写真はストックフォトで、「作られた世界、理想的だけどありえない世界」の演出に一役買っている。

豆電球は東急ハンズで大量に購入し、一つひとつひねりながら点灯させる超ローテク手法で撮影。こちらはハイテクノロジーな広告のパロディだ。「僕たちはCMも作りますが、広告界の人間とは胸を張って言えない微妙なポジションで仕事をしていますので(笑)、その立場を最大限に生かして切り込んでみました。ブレーン読者の皆さん、いかがだったでしょうか?」。

02 GAL MV「group_inou / THERAPY」
03 ライテック Jii「未来のライターJii! Jii! Jii!」
04 東京サマーランド デカスラ「デカスラ」編

安達 亨(あだち・とおる):右
1999年頃に多摩美術大学在学中に結成されたCGアニメ制作チームの一員。ハイテンションで濃厚なビジュアル表現を持ち味に、映像やイラストレーションなどあらゆる形の創作に挑み、人々の暮らしに驚きと生きる活力を与えていくことを目的としている部活動を行っている。

  • 企画制作:AC部
  • 企画+演出+撮影+CG:安達亨、板倉俊介
  • 音楽:ナッシュスタジオ

スマートフォンで上の画像が動きだす!
無料アプリ「aug! オーグ」をスマートフォンにダウンロードして、右のキービジュアルにかざすと、今回制作されたCMが再生されます。(iOS6以上を搭載した、iPhone、iPad。およびAndroid4.0以上を搭載したAndroidに対応)。ブレーンのデジタル版(https://mag.sendenkaigi.com/brain)でも視聴いただけます。

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