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デザインプロジェクトの現在

社会的な課題を美しいモノやコトで解決する

川島蓉子

地域とつながり、さまざまな活動をしているコミュニティデザイナーの山崎亮さんの活動が広がっている。福祉、医療、教育と、幅広い分野に及ぶ仕事の考え方を聞いてみた。

01 北海道沼田町で診療所の建設が予定されている計画地を住民とフィールドワーク。

02 滋賀県草津市内の草津川は、川としての役割を終えた跡地空間をさまざまな市民活動の場として整備。
草津川跡地プロジェクトで開催した社会実験「ナイトピクニック」の様子。

03 現在進めている兵庫県明石市の譜久山病院の職員ワークショップの様子。

”また来てね“と言える病院をつくる

山崎亮さんが手がけている仕事のひとつは、兵庫県明石市の譜久山病院。私立病院とコミュニティデザイナーの関わりとは何なのか、どういう仕事がなされるのか――きっかけは、病院を近隣の駅に移転するにあたって、新しい地域とどうつながるか、何をしていけばいいかという相談だったという。関西エリアで中小の病院は、どちらかというと供給過剰な状態にある。それで、二代目を務める譜久山剛院長が、移転によって訪れる患者さんが変わる、減ってしまうのではないかと懸念した。とともに、長きにわたって地域に愛される病院になれないかと、山崎さんに相談を持ちかけた。そして、病院のコアメンバーと山崎さんをはじめとするstudio-Lのスタッフが話し合いを重ねた。

行き着いたのは、「また来てね」と気楽に言える病院だった。「病院とは病気になって訪れるところという意味を考えると、『また来てね』なんてこと、本来はありえないことなのです」と山崎さんは笑みを浮かべて説明してくれた。「また来てね」とは、診察を受けるために訪れるだけの病院に留まらず、近隣の人が雑談をしに集まってくる場、つまりサロンのような場を作ることだという。例えば …

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