読者の皆さんからクリエイティブの仕事をする上での悩みや課題を送っていただきました。その中から今回、職種にかかわらず、多くの方々に共通するであろう課題や悩みを編集部がセレクト。第一線で活躍中のクリエイターの皆さんに自身の経験やこれまでを振り返ってもらいながら、質問にご回答いただきました。
Q:インプットはどのようにしていますか。
具体的にどんなことをしているか、教えてください。
A:あえてインプットは
していません。
体に蓄積されたものが自然とにじみ出る
仕事で必要な情報以外は、インプットしようと思って、資料や本を読んだり、映画を見ることはありません。小さいころから自分が興味を持って見たり、読んだり、実際に手で触れてきたさまざまなものが、自分の中に蓄積されています。新しい仕事が始まり、企画を考え始めると、それらが自分の中に湧き上がってくる。それが、広告やプロダクトという形になっていきます。
4月に三越伊勢丹グループで展開する新ブランド「goen°plant planet」では、『おはなしのは』という絵本を描きました。この絵本をつくるときにまず思い浮かんだのは、母のつくり話。毎回、自分でいろいろな物語をつくって話してくれたことがモチーフになり、「おはなしのは」というイメージにつながりました。物語に出てくる雨のエピソードは、理論物理学者の佐治晴夫先生に教えていただいたもの。フクロウの話は、北海道で野生のフクロウが来る宿に宿泊したことから…。いろいろな時期に、いろいろなところで見たものが、自分の中で調理されて一つの形になっていきます。
最近は企画を始めると、絵の具や色鉛筆でラフを描きます。頭の中にはすでにイメージが形づくられているのですが、自分で手を動かして絵を描き進めるうちに、それがより具体化し …