読者の皆さんからクリエイティブの仕事をする上での悩みや課題を送っていただきました。その中から今回、職種にかかわらず、多くの方々に共通するであろう課題や悩みを編集部がセレクト。第一線で活躍中のクリエイターの皆さんに自身の経験やこれまでを振り返ってもらいながら、質問にご回答いただきました。
Q:デジタル時代のアナログの可能性をどう考えますか?
A:それよりも、
何をしてあげれば
ユーザーが喜んでくれるか考えよう。
デジタルとアナログは分けて考えない
この質問をされた方は、おそらく「デジタル」と「アナログ」を2項対立するものととらえていますよね?でも、ユーザーが日常の中で特に意識せずにいろいろなメディアに触れているように、作り手も、もう分けて考えるものではなくなっています。
デジタル時代になって広がった可能性について言えば、例えば何かの可視化であったり、タッチブル=何かを触れられるようにすることであったり、デジタルやテクノロジーの力で、これまでできなかった多くの体験が生み出せるようになっています。
かつてマス広告が中心だった頃、広告というのは人の“気持ちを動かす”ことは得意だったけれど、人に“何かしてあげる”ことまではできませんでした。けれど、デジタルの時代になったことで、それができるようになっています。
例えば、去年のカンヌライオンズで受賞したニベアのキャンペーンで、ビーチで子どもの腕に巻く位置情報探知機つきのリストバンドを雑誌広告につけて配り、設定した距離よりも子どもが遠くに行くと、スマホアプリのアラートが鳴って知らせてくれる「The Protection Ad」がありました。このアプリはバンドの探知機にもなっていて、これがあれば、親は子どものいる場所が簡単にわかります。これで子どもが迷子になることを心配せずに、親はビーチでの時間を楽しめるというわけです。この広告は、ユーザーのために何かをしてあげたり、ユーザーが喜ぶ何かをしてあげられているいい例だと思うんです。
つまり、デジタルとアナログも ...