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デザイン起点のクリエイティブディレクション

「解決するクリエイティブ」から 「作り出すクリエイティブ」へ

戸田宏一郎

「広告の先には何があるのか」戸田宏一郎さんはここ数年、このことを考え続けてきた。その中で、今年開業する仙台市の地下鉄プロジェクトなど新しい仕事を自ら切り拓き始めている。

戸田宏一郎(とだ・こういちろう)
1970年佐渡島生まれ。コミュニケーションのアウトプットをイメージし、アートディレクションを中心にした考え方で、商品開発から企業、ブランドロゴ、CDジャケット、テレビCM、ポスターなどのコミュニケーションに関わる幅広いデザインを手がける。最近の主な仕事は、サントリー金麦、docomo dビデオ、MY BOTTLE DRINK drop(次世代飲料開発)、仙台市地下鉄東西線WEプロジェクトなど。

アートディレクターの先へ

最近はクリエイティブディレクター的な役割を担うことが増えています。肩書きやドメインは相変わらずアートディレクターなのですが、仕事の内容はいわゆるクリエイティブディレクション。全体の設計をするという点では大きな違いはないのですが、アートディレクターからクリエイティブディレクターへ鞍替えするというスタンスがちょっと微妙で――。僕としては、アートディレクターのポジションがそのまま上がればいいと思っていて、その上位となるスタイルをずっと探しているんです。例えばなんでもいいんですがスーパーアートディレクターとか…。アートディレクションをドメインとして、全体設計ができる人、という意味で。

多分、今その形に一番近いのは佐藤可士和さんだと思いますが、その部分でビジネスが成立している人はそうそういるわけではないです。本来は電通のようなエージェンシーにこそ、そういう人がもっといるべきではないかと思うんですが。つまり、これからの社会においては何が大事で、そこに何が必要なのかを見極めてビジョン化できる人のことです。経済全体や経営の視点も理解した上で、クリエイティブを提案できる人。一見、経済と対局にあるように思われてきましたが、我々含めブランディングの仕事を数々重ねる中で、クリエイティブこそむしろ経済のど真ん中に必要なのだと勘のいい経営者は既に気づいています。ましてアートディレクションという能力は …

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