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川上弘美「椰子・椰子」、「FOR A GIRL」ほか、ホナガヨウコさんが選んだ4冊

ホナガヨウコ

クリエイターのオフィスを訪ねると、よく見かける、大きな本棚。忙しい仕事の合間に、クリエイターたちはどんな本を読んで、どのように仕事に生かしているのか。第72回目は、ダンスパフォーマー/振付家として活躍するホナガヨウコさんです。自身の仕事や人生に影響を受けた本について聞きました。

『椰子・椰子』

川上弘美(著)
(新潮社)

どこから読んでも楽しい。川上さんの夢日記のような短編集。夢ってなんだか当然のように納得させられてしまう力がある。「縄文人街」「裏祭」といった突っ込みたい設定や「年々縮んでいる山本アユミミ」「まさかりを持った太った紳士」などおかしな登場人物ばかりなのに、妙に馴染んでいて説得力があるのだ。文章があっさりとした淡々としたリズムで綴られているのも読んでいて心地よい。童話のようにも感じられる世界観だが、特にこれといった教訓はない。ただただ、そっと並べられてゆく短い情景の数々を、想像してはくすりと笑ってしまう。好きな描写をいくつか。オランダ水牛を彫る恋人の肩の上に登りそのまま取りついたり、子どもをきちんとたたんで押し入れにしまってから街に出たり、2つめの影がはあはあ言ってるので踏みつけ続けたらはがれたり、会社のコピー機の裏に女の子が住みついたり。読んでいるだけなのに身体感覚がぐにゃんと歪まされる瞬間が度々あって、「その時その身体どうなっちゃってるの!?」という矛盾が五感をぞわぞわ刺激してきて面白いのだ。それにしても何回読んだかわからない。音読しながら踊るのも楽しいのでいつか舞台化したいと密かに思い続けている。

 


 

『FOR A GIRL 大森伃佑子のスタイリングメッセージ』

大森伃佑子(著)
文化出版局

雑誌『装苑』での連載をまとめたスタイリスト大森さんの魅力が詰まりまくったファッション写真集。一枚一枚どれもうっとり見惚れるだけでなく …

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