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アイデアの幅を広げるストックフォトの活用

本号の特集「地域のクリエイティブ」の扉デザインをご覧いただけただろうか。実はこのデザインは、米国・ニューヨークに本社を置くShutterstockが提供する画像データのみを使用して制作されたものである。デザインを手がけたKuchen(クーヘン)、アートディレクター 岩崎悦子さんに制作プロセスを聞いた。

01 「ブレーン」3月号特集扉

世界観のある写真で構成

昨年、奄美大島の観光関連のプロモーションに参加するようになり、現地に何度か足を運ぶ機会がありました。地域の仕事をするようになって感じたのは、東京に集まっているいろいろなノウハウをもっと地域に活かしていけたらな、ということ。自然にあふれる地域とさまざまなノウハウであふれる東京がお互いにもっと向き合って、お互いのよいところを活かしていけたら、どちらも活性化していくのではないか、ということです。今回、「ブレーン」の特集テーマが「地域のクリエイティブ」と聞いたとき、東京と地域が向き合っている、そんなイメージで扉をつくることができたらいいなと思いました。そこから人が向き合っている絵が浮かび、それぞれの人を空間に見立て、東京と地域を象徴するビジュアルにしようと思いました。

シャッターストックのサイトを開き、「日本」「地域」といった言葉でまずは検索。そこで出てきた画像を見て、イメージをふくらませていきました。シャッターストックの画像は、どれも1枚の写真として世界観が完成されていると思いました。例えば富士山の写真。これまで「富士山」で検索すると、「青い富士山」が出てくることが多いのですが、今回使った富士山は不思議な色合いで、しかも裾野の街まで映っている。日本人があまり見たことがない富士山です。着物を着た女性も、独特の色合いと雰囲気が特徴。海外から見た日本ってこんな感じなのかなと思いながら、気になった写真をピックアップし、構成しました。普段は撮影をすることが多いのですが、今回は写真の世界観や面白さに惹かれて、写真だけのコラージュに挑戦しました。

別案では、イラストと画像を組み合わせて、人と人のつながりをイメージさせるもの、そしてこれからの地域が“日本のビッグ・バン”となるべく、宇宙の画像と家紋をモチーフにデザインをしました。通常、ストックフォトの場合、色やトーンを調整して全体を整えますが、今回は写真の色味が面白かったので、色もほぼそのままの状態で使っています。

普段の仕事ではフォトグラファーに撮影してもらうことが多く、ストックフォトは主にカンプ制作時に素材的に使っていました。今回、検索によって思いもよらない画像に数多く出会うことができました。そういう意味では、素材として使うだけではなく、アイデアの幅を広げたいときやイメージを膨らませたいときにも活用できそうです。

02 扉のデザイン別案



03 特集扉に使った画像素材。写真提供:Shutterstock


Kuchen 岩崎悦子(いわさき・えつこ)
1984年群馬県出身。女子美術大学 芸術学部デザイン学科を卒業後、有限会社E.を経てKucHen入社。2007年度東京TDC Prenominate。JAGDA会員。

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