アイデアとは新しい組み合わせである
『アイデアのつくり方』(CCCメディアハウス)を初めて手にしたのは、美大受験の予備校に通っていたとき。同じ予備校で尊敬していた友人に。この本いいよ」と薦められたのがきっかけです。その友だちはアートやデザインに詳しいだけではなく、流行の半歩先を颯爽と走っているような人。感度が高く知的で、今から30年以上前に「デザインは表層的なものではなく、経済も動かす」といった話をしていたほどです。そんな友人がすすめるなら間違いないだろうと、買ってみました。
デザインの見方
メキシコオリンピック('63)のロゴデザインでも知られる米国の巨匠ランス・ワイマン。氏が手がけたミネソタとワシントン国立動物公園のピクトグラムやサイネージがとても素晴らしい。ピクトグラムとは文字を使わないコミュニケーションのための図案。記号として個性を消すものが多いなか個性的で親しみが持てます。ミネソタ動物園のロゴマークは、同園を代表する人気のヘラジカが水草や種実を食べている姿をミネソタの“M〞で表したのでしょう※。簡略化した中にも絵心があり、30年以上経たいま見てもとても新鮮です。特にここで挙げるワシントン動物園のポスターは、ZOOのロゴタイプの“O〞がのびて動物のピクトグラムのフレームとなり、横顔のフォルムだけで多種多様な動物の特徴を端的に表しています。
※参照 http://graphicambient.com/2012/05/21/minesota-zoo/
左上から二番目の鶴と三番目のフラミンゴを見てください。特徴の掴みにくい鳥類もくちばしの形状や首の角度で表しており ...