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2015年注目のクリエイティブチーム

国境もデジタルの境界もチームで乗り越える

グランドデザイン

ホノルルがグランドデザインと改名。日々めまぐるしく変化するデジタル分野への対応と、国際色豊かな組織作りで、常に新しいクリエイティブを提案する。

01 左前から藤原夕貴さん、星野千衣子さん、狩集美穂さん、竹内春香さん、林珮芸さん、谷井瑛里子さん、安松葉さん。左後ろから馬怜郁さん、辻野貴文さん、山入端悠さん、工藤純平さん、藤原準さん、阿部一雅さん、西克徳さん。

中国進出の日本企業をサポート

02 パナソニックエアコン2014 年中国版広告
03 パナソニック100 周年記念グローバル広告
04 パナソニック冷蔵庫2014 年中国版広告

クリエイティブラボ・ホノルルは、2014年8月に上海会社と統一名の 、グランドデザインとして新たな一歩を踏み出した。来年の香港会社開設をきっかけに、これまで日本と上海で別の社名を名乗っていた状況を解消し、グランドデザインに統一。社名について、代表の西克徳さんは「クリエイティブの世界ですべての基礎となるような全体設計を行う会社なので、私たちの行動そのものを表現した名前になっています」と話す。

 今年4月には、Web 制作会社ラナデザインアソシエイツと共同出資でクリエイティブエージェンシー・ラナグランドを設立。Webは集合知の世界でもあり、利用者が多い方が進歩の度合いも早くなる。人口の多い中国はデジタルの世界でも優秀な人材を抱えている。イノベーティブに長けた日本の優秀な人材と融合することで新しい化学反応を生み出せるようになる。「大陸のことを知った上で日本にチームとワークステーションを作って動く方が良いものが作れるのではないかと考えました」(西さん)。

 同社のように、日本、中国に加えて香港や台湾と国境を越えて活動するクリエイティブ制作会社は少なく、中国に進出する企業からの依頼も多い。パナソニックの海外マーケティング本部との仕事では、担当者が日本と中国を行き来しており、上海と東京に事務所を構え、どちらでもコンタクトできる同社の体制は大きなアドバンテージとなった。東京事務所を窓口としているが「僕たちは東京で作っても上海で作っても一緒。どちらにも中国人スタッフがいて、中国の市場動向、消費者インサイトもわかっているので、パナソニックの仕事はチームの特徴にピタリとハマっています」(西さん)。中国市場に対する一定の理解があるクライアントに対して、ただ日本式の提案をするのではなく、中国国内事情を知った上で外部の視点から提案するという同社のチームづくりがクライアントの要求と合致したかたちだ。

国境だけでなく、ラナグランドができたことでデジタルとアナログの境界も超えようとしている。通信教育を手がけるユーキャンは、新聞広告の効果が下がっているという課題を持っていた。この課題に対して、短期的な解決を求めるのではなく、中長期的な視野に立ち、Webサイトのスマートフォンへの最適化を提案した。

 テレビCMの「手軽で簡単」というイメージとWebサイトの教材説明というコミュニケーション手法に温度差を感じ、これがサイトの離脱率や入会希望者数に影響しているという仮説の元、テレビCMとの温度差をなくすようなサイト設計を行った。その結果、手がけた講座の入会者数が総じて上向きの結果につながった。広告の視点で課題を分析し、デジタルで最新デバイスのデザインにも対応できるチーム体制が新たな提案とソリューションの源になっている。

05 JT Pianissimo ICENE パッケージデザイン



06 ユーキャン スマートフォンサイト保育士講座

インプットを共有し、良い循環を生み出す週1の会議

 国境を越え、デジタルとアナログの境界もなく活動するために、週に一度、スタッフ全員が集まる会議を開き、企画やアイデアを共有する機会を設けている。「それぞれがどこかで見たり、面白いと感じたことをチームで共有することで、良い循環が生まれています」(西さん)。

 新人も企画会議に参加し、考える習慣をつける「筋トレ」の機会として活用している。デザインと異なり、企画はアイデアの種や、発想の元が重視されるので、経験や実績の影響が少ない。西さんは「新人の意外性のあるアイデアをなんとか世に出せないかと考えたり、刺激を受けるのはおもしろい」と、人材育成にとどまらない効果もあると話す。

 今後は、東京、上海、香港で人材の交流を進め、「国境とか国籍とか関係なしに自由に行き来して、みんなが各地をグルグル回りながら楽しく仕事ができると良いなと思っています」(西さん)。将来の日本経済を考える上でも中国市場は未だ無視できない存在。日本と中国の架け橋となるグランドデザインのような存在は、きわめて貴重で今後の活動に注目が集まる。

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