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楓セビルのアメリカンクリエイティビティ NOW!

変わる広告の中のダディ・イメージ ”ダディ愛に目覚めて”

楓セビル

家庭用品のGMSローズのCM
このCMでは、数年前まで、広告の中にひんぱんに登場していた木偶の坊の父親を再現。視聴者から「現実の父親像と違う!」と強い非難の声があがった。出張中の母親からかかってきたスカイプ電話をうまく誤摩化す父親と子供を描いたもので、母親が消えると同時に、汚れた台所、好き勝手なことをしている子供たちが画面に登場。父親の無能さがありありとわかる仕組み。

働く母親が、出張先のホテルからスカイプで留守番をしている父親と三人の子供たちに電話する。「すべて上手くいってる?」。父親と三人の子供が異口同音に「すべて上手くいってるよ」。「よかった。じゃあおやすみ」と母親がスカイプを切る。ほっとする父親と三人の子供。母親には見えなかったが、彼らの後ろには、食べ散らかした食卓、流しに山積みになっている汚れた皿、壁に飛び散っているケチャップなど、とても『すべて上手くいっている』とは思えない状態だ。アナウンサーの声、「だが心配ご無用。ローズのバルスパー・リザーブ・ペンキなら、一拭きでシミが取れます」。壁のケチャップを拭いている父親。

今夏、このCMが登場した時、多くの父親、そして母親から非難の声があがった。CMが描いている父親が、家事も、子供のしつけも出来ない木偶の坊として描かれていると言うのだ。「何故いまさら、こんな古い形の父親を広告の中で描かなければならないのか!」とあるブログは怒る。

ダディに関する神話崩壊

このCMに対する非難や怒りは、アメリカの“ダディ”(父親の愛称)が広告の中で、家の中の厄介者、家事も掃除も子育てもできない木偶の坊といったイメージで描かれていることが原因となっている。だが、現実のダディは、それとはほど遠い価値観とライフスタイルを持ったダディなのだ。事実、マイクロソフトは、2013年、こういった現実とイメージの間のギャップを調べるリサーチを行い、それを実証した。リサーチは、25才から40才までの6才以下の子供を持つ父親のライフスタイルや価値観を調べたもので、「伝統的なダディ像と、現実のダディの間に存在すると思われるギャップの本体を突き止めるため」とその主旨を説明している。若い父親の典型的、伝統的とされているいくつかのイメージや“伝説”(事実のない予想)を取り上げ、それと現実との違いを考察している。

例えば、「ダディはCPG(家庭用品)に全く関心がない」と言われているが、それは本当か。調査の結果では…

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