「うちで踊ろう」(2020年、星野源)他
名言ヅラしていなくて、みんなのおもちゃになるようなコピーが好きです。「ダッダーン」は幼稚園でゲラゲラ笑いながら真似していた、原体験とも言えるコピー。当時はダダンというのが商品名だということも知らず、ただ語感が面白くてひたすら繰り返していたのですが、それってコピーの究極の到達点ではないかと思うのです。意味がないけれど魅力的な言葉には今でも強い憧れがあります。
名作コピーの時間
セゾングループ「セゾンカード」/1988年
○C/仲畑貴志
サントリー「サントリーオールド」/1988年
○C/小野田隆雄
伊勢丹「企業スローガン」/1994年
○C/土屋耕一
新聞に載っていた小さな求人広告からコピーライターの世界に転がり込んだ僕は、悩みの中にいました。大学の夜間部を卒業して別の仕事をしていた僕には、幸運にも知り合うことができたカッコいい大人たちとのつながり以外には自分の中に根っこもなく、焦っていたのです。忙しい会社ではなかったので、夜は嫌いじゃない飲食業でアルバイトをしてお金を貯めて、広告批評の広告学校や宣伝会議のコピーライター養成講座に通いました。わかりやすい夢見る若者として、まあまあ頑張っていたのではないかと思います。
今回、自分の思い出深いコピーについてあらためて考えてみると、仲畑さんと小野田さんのコピーが浮かびました。それは、カードとウイスキーそれぞれから生まれた紛れもない商品コピーでありながら ...