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注目のエージェンシー

「体験づくり」を核に企業の本質課題に応える

2014年、創業以来初めてCIをリニューアルした1→10。その背景には、これまでにないクリエイティブエージェンシーを確立させたいという強い思いがある。

01 写真左より椎名鉄兵さん、松重宏和さん、水谷秀明さん、木田広大さん。

企業と一緒に同じゴールを目指す

2014年、1→10は新たな動きを見せている。イベント、プロモーション専門会社最大手のテー・オー・ダブリューとともに「1→TOW」(ワン・トゥー・ダブリュー)を発足したほか、オンライン動画広告クリエイティブの研究プロジェクト「1-10オンラインビデオクリエイティブラボ」の開始、デジタルエキスパートが集まる「ベスト・イン・クラス パートナーズ」への参画、アサツー ディ・ケイと同社スタッフの相互参画による共同プロジェクトチーム「NOIMAN(ノイマン)」の立ち上げ――。「これらのプロジェクトはすべて、これからの1→10の核となっていくものです」と、代表取締役CEO 澤邊芳明さんは話す。

SNSの登場でソーシャルメディアが生活者にとって重要なメディアとなり、従来のコミュニケーションが大きな変化を遂げた現在、企業も自社のブランディングやコミュニケーションを見直す時を迎えている。これまでにない連携を求める企業が増えるにつれ、独自の核と多様なネットワークを持ち、本質の課題に応える同社の存在は大きくなっている。「企業が組織改革やグローバル化を図る中で、パートナーである私たちも受発注の関係に留まることなく、同じゴールを目指して変わっていかなくてはいけない。常に新しいチャレンジの連続です」(エグゼクティブプロデューサー 椎名鉄兵さん)。

プロトタイプで具体的な形を示す

最近、同社に依頼が増えているのが、「渋谷デジタル花火大会」のようなデジタルサイネージ企画やソフトバンクの感情認識ロボット「Pepper」に代表されるプロダクトの開発、またDeNAからリリースされている「妖刀あらしとふぶき」のようなコンテンツの開発など、「生活者が楽しめるエンターテイメントの体験をつくる機会が増えています」とクリエイティブディレクター水谷秀明さんは語る。いまの1→10をひと言で表わすなら、デジタルクリエイティブエキスパート。その核となっているのは、いままでなかった価値を創造し、新たな体験を提供していくこと。「その答えは決してひとつではなく、Webのコンテンツかもしれないし、リアルのイベントかもしれない。時にはまったく違う見たこともないような形かもしれない」(プロデューサー 松重宏和さん)。それゆえに、いまの1→10はデジタルクリエイティブエージェンシーの枠に留まらない、独自のクリエイティブエージェンシーに進化しつつあるといえそうだ。

1→10の新しい可能性を引き出した仕事の一つが、今年ローンチしたパイオニアの新ブランドのヘッドホン「スーペリアクラブサウンド」のグローバルコミュニケーションだ。製品開発段階からプロジェクトのコアメンバーとして、ブランドのコンセプト、CM、Web、カタログ、店頭の什器など多岐に渡るクリエイティブディレクションを担当。「Webと店頭で流す映像をきっかけにクラブミュージックファンを呼び込みながら、徐々に売上にも貢献している」とECD 木田広大さんは話す。デジタルを核に戦略を立て、口コミを活用してブランドのアクティベーション(活性)を図る――従来であれば、企業からのオリエンを待ち、広告代理店、Web 制作会社、SP会社などで分業していたことを、オリエンの前段階から企業のプロジェクトに入り込み企業と二人三脚しながら成し遂げていく。専門特化した人材を国内外から積極的に採用していることが、他社とは違う1→10ならではの強みとなっている。

新たなクリエイティブエージェンシーとして、常にチャレンジをし続けるために、日頃からスタッフが実験やプロトタイプの制作に取り組んでいる。「渋谷デジタル花火大会」もプロトタイプがきっかけで実現に至り、こうした取り組みから仕事に発展するケースが増えている。「課題に対して、企画書のような紙の上だけではなく、具体的にイメージできる形を示せること。そして、それを実現できる専門特化した人材が企業のパートナーとなり、一緒にイノベーションを起こしていけること。そこにいま、私たちの存在価値があると考えています。企業はもちろんですが、広告会社とも競合するのではなく、協業できるスタイルを確立することで、新しいビジネスモデルをめざして取り組んでいます。今の現実から、少しだけ先の希望ある未来へと変化を促す作用点を生み出したい」(澤邊さん)。メディアに依存することなく、広告会社、制作会社という従来の領域を超えた、新しいクリエイティブエージェンシーとして加速させていく。

02 リニューアルしたCI。

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