あの人はどう考えているの?その時もっとも気になる質問に対して、複数のクリエイターに回答していただくコーナーです。
Q.海外で働いてみて感じた、日本のクリエイティビティの可能性は?
石原 和(いしはら・かず)
ビーコン コミュニケーションズ クリエイティブディレクター
A.日本人、通用します。
日本のクリエイティブって、じつは海外では憧れの的なんです。日本には歴史があり、カルチャーがあり、ユニークな発想がありますよね?それが僕らのDNAの中に既にあるのです。海外では、そういった“色”を出せる事が最大の武器になります。日本人のクラフトのレベルの高さ、美的感覚は既に海外で充分に通用するのです。あとは、それを自信をもって伝えること。海外では謙虚さは評価されませんので。。。
武重浩介(たけしげ・こうすけ)
電通 コピーライター
A.本質をついた企画は、世界でも通用する。はず。
海外業務では、言葉、文化、宗教はもちろん、仕事の進め方の違いなどさまざまな「違い」が壁になることがあります。ただ、それらの「違い」にとらわれすぎないほうがいいのかなと思います。「違い」を飛び越えて、日本でも海外でも通じる表現を考える。それがものごとの本質をついた表現にもつながると思っています。そもそもクリエイティブ表現は、「違い」を超えるためのコミュニケーション手段ですし。でも、それが難しいんですよね…
岩本文彦(いわもと・ふみひこ)
K&L Inc./エグゼクティブ・クリエイティブディレクター
A.発想をガラパゴス化させないこと
クライアントが求めていることをどれだけ正確に読めるか、どれだけきめ細かく仕上げられるかというのは、日本人の強みですが、言語や文化が同質化している日本では、コミュニケーションが繊細になってしまいます。異文化や言語の壁を超えて、それでも伝わる物は何かを考えることで、アイデアが骨太になり、シンプルになります。発想をガラパゴス化しないように努力することが、世界に通じるコミュニケーションへの近道だと思います。
新沢崇幸(にいざわ・たかゆき)
TBWA\ HAKUHODO クリエイティブディレクター/コピーライター
A.あとは、気持ちの問題だけ。
日本のクリエーターの腕は世界でもハイレベル。英語で仕事をする「気持ち」さえあれば、誰でも明日からクリエイティブ職人として海外で働けるでしょう。そう、職人として、です。世界で抜きん出たクリエーターとして働くには、さらに強い「気持ち」が必要だと考えます。小さなエクセキューションではなく大きなアイデアで世界をマジで動かそうという気持ち。会議で負けない強い気持ち。日本人の苦手なとこですよね。でもその先に、世界で輝く日本人が増えるミライが待っていると思います。
カンナアキコ(かんな・あきこ)
StudioKanna アートディレクター/グラフィックデザイナー
A.洞察力と好奇心
クライアントが求める考えとは全く違った方向から切り込んでいけるだけの洞察力と好奇心を常に持っていることです。もちろん、自分が主張する意見を尊重してくれる分、責任の度合いや範囲もだいぶ変わってきます。日本のデザイナーはとても器用で繊細だと思いますが、仕事の案件が細分化されすぎたり、担当の人に決定権がない状況は、せっかくの才能が開花できないでいるように思えます。もっと大きい視野の中で試される土壌を増やしていくことが必要だと思います。
真木大輔(まき・だいすけ)
ワイデン+ケネディ トウキョウ アートディレクター
A.驚くほどよく働くこと。
自分のいたサンフランシスコは気候もよくみんな適度に力が抜けていて、仕事に対する考えかたも多くの日本人とは違うように感じます。アメリカの大学を卒業して向こうで社会人をスタートしたので、日本に帰ってきて驚いたのがみんな本当によく働くということでした。日本での仕事環境を海外にもっていったら、普通にしていても勤勉に見られて得するかもしれないです。