コミュニケーション・ベンチャー企業を追求する日宣は、既存のメディアにとらわれない新しいメディア、新しい仕組みをつくる。
左前列から橋爪雷太さん(AD)、伊藤順子さん(AD)、中村俊明さん(AD)、加藤千夏さん(D)、内田歩さん(AD)、小坂香織さん(AD)、小谷真理恵さん(AD)、後列左から菊池千尋さん(D)、小林香織さん(AD)、志村太郎さん(D)、白根安由美さん(コピーライター)、成田信さん(Webディレクター)、西島竜さん(AD)
既存イメージを壊し、成長に挑む
昭和22年に神戸で広告の企画会社として創業した日宣。単に広告を作るだけに留まらない、宣伝広告の「仕組み」作りを提供してきた。「クライアントと直の取引以外は受けないというスタンスの広告会社です。それは膝を付け合せて話を伺うことで、顧客にとって本当に必要なコミュニケーションが何かを掴み、そのソリューションを仕組みから作ることを強みとしているからです」と、取締役 制作本部長兼コミュニケーションデザイナーの飛川亮さんは言う。
日宣は広告クリエイティブ、WEB、空間プロデュースなど幅広く手がけており、特にグラフィックデザインには定評がある。クライアントの経営や事業の課題を解決する、効果のある「情報」「コンテンツ」「ストーリー」「ブランド」開発としてのデザイニングを追求している。しかし、「得意技に安住していたのでは成長はない。そのイメージを壊したい」と取締役 管理本部長の本間祐史さんはいう。
65周年を迎えた2012年、日宣はCIをリニューアルした。クライアントの顧客を創造することをゴールとし、従来以上のサービスを提供する意思表明を表した。CI開発の際にタグラインも新しくした。新しいタグラインは、「DesignWOW」。「この手があったか、と思えるコミュニケーション」「思わずファンになる、心動くプロモーション」など顧客を生み出すため、新しいことにトライして成長していくという決意を込めている。大阪支社に続き名古屋に営業所を開設するなど、新しい挑戦は着々と進んでいる。
また、広がりのあるソリューションを提供するために組織を再構築した。営業の機能と制作機能をそれぞれ確立して、スタッフに専門性を持たせている。クリエイティブは、強みであるグラフィックに加えて、企画やプロモーション、映像など、ここ2年で新機能を強化するための人材確保を進めてきた。4年前まで50人だった社員は現在80人を超えている。
事業の拡大や成長のために、コミュニケーションビジネスのあり方も柔軟に捉えている。大きなメディアでの勝負にこだわらず、独自の視点を大切にしている。たとえば、まだメディアとして確立していないところに存在するコミュニケーションを発掘し、そこで勝負することも考えている。その一例がケーブルテレビである。
独自のメディアプロデュース力に着目
日宣は、全国110局のケーブルテレビ局が加入者に配布するテレビ番組情報誌『チャンネルガイド』を、毎月160万部以上発行している。この情報誌は、もともと日宣が独自に企画・開発したもので、編集・作成から印刷・配送まで、一貫して日宣内で取り仕切っている。もちろんケーブルテレビから受託されて行っているのだが、広告という範疇を超えた、メディアとしての出版事業を1から立ち上げている。
クライアントのケーブルテレビが地元密着情報の発信力に優れている点に着目した。現在、全国ケーブル放送で、地域ごとの病院のドクターが登場する医療系の番組の制作とメディアバイイングも手がけている。
番組情報誌のクライアントであるケーブルテレビは、番組制作を行う日宣の座組という側面を持つようになった。飛川氏は、「これをきっかけに、地元密着の情報発信力という強みを生かして、各地域に着目した仕事に広げていきたい。そうすることがケーブルテレビのメディア価値向上にもつながるはず」と考えている。
これまで作ってきたコンテンツを映像に広げることで、クライアントに新しいサービスを届けることができる。BtoBで発生するコミュニケーションへのビジネス展開など、新規事業の確立にも意欲を燃やしている。
「クライアントの顧客との接点をどのように開発し、プロデュースしていくか。今後は独自の視点やマーケティングの知識でノウハウを作っていく必要がある」と飛川氏は指摘する。
先日、国際展示場で行われている大型の興行型イベントのイベント運営権を勝ち取り、新境地への道を開いたばかりである。このイベントもメディアであり、コンテンツになる。さらに、そこから新しいネットワークやビジネスも生まれていく。
「コミュニケーション・ベンチャー企業でありたいと考えています。激変する広告業界のなかで、常に少し先の未来を冷静に捉えて、新しいサービスを生み出し、世の中に提供していきたい」と飛川さんは語る。現在、新規の相談も増えており事業も拡大している。
事業を拡大しても、得意分野に安住するではなく、あくまで“挑戦者”の姿勢。上昇志向の果てに、未来の広告やメディアのビジョンが見えているようだ。
左から飛川亮さん(取締役 制作本部長 兼 コミュニケーションデザイナー)、本間祐史さん(取締役 管 理本部長)
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【求人情報】
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