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いま、注目のクリエイティブ・チーム

映像演出で培った 「クラフト力」で生み出す 新しいクリエイティブ

PARABOLA

2014年春、太陽企画に新しい組織が生まれた。その名はPARABOLA。次世代の企画演出部の在り方を模索する中で生まれた組織である。

PARABOLA
(前列左より)三島わかなさん、山本真也さん、イトウガクさん、後列左より八代健志さん、小畑瑞輝さん、大久保奈々さん、大西悟さん、石井小麗さん(当日不在)原武美和子さん、新山哲河さん、泉田岳さん

CMで培った技術と知識を活かす

日本にCMが誕生してまもなく60年が経とうとしている。その歴史の中で映像技術は進歩し、メディアの多様化が進み、もはやCMはテレビだけで見るものではなくなっている。また、CMのみならず、Web、セールスプロモーションやイベントでの映像制作をはじめ、従来のプロダクションのフォーマットでは対応しきれないことも発生しつつある。「映像におけるニーズが多様化した結果、僕らはもはや“CMが専業です”とはいえない状況にあります。これまで培った“企画”“演出”という自分たちの技術を、求められた案件に適切な形で合わせていくことが必要になっていると感じています」と話すのは、太陽企画CMディレクター 山本真也さん。

こうした状況に対応すると同時に、今後CMプロダクションとして、また企画演出部の未来はどうあるべきか――そのことを見据え、太陽企画では今年、山本さんを中心に新たな組織「PARABOLA(パラボラ)」を立ち上げた。多くは同社企画演出部の出身で、現在10人のメンバーで構成されている。従来の企画演出部ではCMのプランニングや映像の演出が主な仕事だったが、PARABOLAでは、メンバーの個性や得意なことも提供できる技術のひとつとして考えている。そのため、PARABOLAにはWebを得意とするディレクターやエディター出身で展示映像を得意とするディレクター、家具づくりを得意とするディレクターなども参加している。こうした個性も含め、各メンバーが持つ技術を山本さんは「クラフト力」と呼ぶ。「僕らが他の人より得意なところがあるとすれば、それは“伝える力”。頭の中にあるイメージを現実のものとして絞り込み、具体化していく力であり、それを実現するための知識がある。だから、完成に直結したブレのない設計ができる。ディレクターというのは、そういうアウトプットの手触りを持っている人ではないかと考えています。そういう力を従来とは違う形で活かし、新たな提案につなげていけたらと考えています」。

「何をやったらよいか、わからない」案件にも対応

メンバーそれぞれ映像演出ではすでに活躍していることもあり、従来の仕事も行いながら、PARABOLAとして下記のような案件に積極的に対応していく考えだ。

1.その会社に企画をする人や映像を制作する人がいない営業直・クライアント直案件

2.映像であるなしに関係なく、どこに相談すればよいのかわからない案件

3.自分たちでテーマを見つけて、企画する自主提案・開発案件

「ここで挙げた案件は既に仕事として受けていたことで、PARABOLAが誕生したからといって大きく方向転換をしたわけではありません。できれば企画の川上から参加することでもっと深く入りこみ、それぞれのメンバーの得意なところをより活かしていきたい。結果として、アウトプットが映像でないかもしれないし、違うディレクターかもしれない、けれど、僕らはそれでもいいと考えています」。

PARABOLAの方向性を示す仕事のひとつが、今年のONESHOW INTERACTIVEでGOLD PENCILを受賞したビームスの「ASOBERU-T」だ。電通CDCが企画開発したAR(拡張現実)技術を利用した専用アプリで、そのアプリ内のキャラクターの演出、およびアプリを活用するスポンサーに向けたプロモーション映像の演出を同社が手がけた。このプロジェクトに参加したイトウガクさんは、PARABOLAの可能性を次のように話す。「従来の縦割りの部門ではなく、いろいろな人たちを集めて、それを仕掛けていくプロデュース的なこともPARABOLAがこれからやるべきことのひとつと考えています。面白いアイデアがあれば、それをどこに向けて、どういう形で、どのように発信していくべきか。クライアントの仕事であろうとなかろうと、そのことを先頭に立って考えて、形にしていける存在になっていきたい」。

「放物線」を意味する「PARABOLA」を組織名に掲げたのは、さまざまな広告に対する受け皿となって活動すると同時に、新たに自分たちで発信していきたいという思いから。「CMという現場で培ってきた筋肉を使って、面白いことをしていきたい。それが広告自体を面白くしていくことにもつながったら、と思っています」(山本さん)。

01 BEAMS「ASOBERU-T」
Ag: 電通、Dir: 山本真也+イトウガク
2014 ONE SHOW INTERACTIVE GOLD受賞

02 東邦ガス「薪とカンタとじいじいと。」
Ag: ADK、SPフォーラム、Dir: 八代健志
2014 SHORT SHORTS FILM FESTIVAL&ASIA 2014「地球を救え!」部門 優秀賞(環境大臣賞)受賞

03 信濃毎日新聞社「家族のはなし」
Ag: フロンテッジ、Di: 泉田岳
2014 ADFEST FILM SILVER受賞 / PRESS BRONZE受賞

04 自主制作CG作品「HINODE」
CG Dir: 新山哲河 SIGGRAPH Asia 2013入選

05 日本マクドナルド マックカフェ「スイートな時間」
Ag: 電通、Dir: 山本真也

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