「これからの企業と生活者のコミュニケーションを変えるのは誰だ?」――宣伝会議 創業60周年の節目の号である本号では、メディア、テクノロジー、地域など、さまざまな切り口で、コミュニケーションの新しい可能性を拓いている40名あまりのクリエイターの活動を紹介します。なぜ、あなたはその活動に取り組むのですか? 自身の活動を通じて実現しようとしていることは何ですか? それによって企業のコミュニケーションはどう変わり、あるいは私たちの未来がどうワクワクするものに変わっていくのでしょうか?――これからのコミュニケーションを考えることは、これからの広告の形を考えることにほかなりません。彼らが語る言葉の中に、次なる広告の発想の刺激やさまざまなヒントが見つかるのではないでしょうか。あるいは、新しいコミュニケーションにチャレンジしたいときのパートナーとして、力強い味方になってくれるかもしれません。

Photo:Rima Musa / DESIGN MUSEUM
スズキユウリ(すずき・ゆうり)
1980年生まれ。08年にロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)の修士課程を修了。ロンドンを拠点に、作品を制作する。
「音」のデザインのあり方
英国を拠点に、音をモチーフとした作品やプロダクトを制作するスズキユウリさんは、「現代のデザインは音にプライオリティを置いていないものが多い」と話す。「技術や形に絶対的なプライオリティを置くメーカーは多いけれど、音についてはあまりフォーカスしていない。携帯電話の中に入っている音が何年経ってもあまり変わらないのがいい例です」。デザインと音、そこに自分の好きなメカニカルな構造を加えることで、音を主役にした新しいコミュニケーションができるかもしれない、それが現在に至る創作の原点だ。