「これからの企業と生活者のコミュニケーションを変えるのは誰だ?」――宣伝会議 創業60周年の節目の号である本号では、メディア、テクノロジー、地域など、さまざまな切り口で、コミュニケーションの新しい可能性を拓いている40名あまりのクリエイターの活動を紹介します。なぜ、あなたはその活動に取り組むのですか? 自身の活動を通じて実現しようとしていることは何ですか? それによって企業のコミュニケーションはどう変わり、あるいは私たちの未来がどうワクワクするものに変わっていくのでしょうか?――これからのコミュニケーションを考えることは、これからの広告の形を考えることにほかなりません。彼らが語る言葉の中に、次なる広告の発想の刺激やさまざまなヒントが見つかるのではないでしょうか。あるいは、新しいコミュニケーションにチャレンジしたいときのパートナーとして、力強い味方になってくれるかもしれません。
ピースオブケイク 加藤貞顕(かとう・さだあき)
編集者。アスキー(現:アスキー・メディアワークス)を経て、05年にダイヤモンド社へ。11年ピースオブケイクを設立。主な担当書に『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』『英語耳』など。
ものづくりの既存の枠組みを更新する
出版不況が言われるようになって久しい。ネットの台頭によって書籍・雑誌の市場が縮小し、マーケティングが機能しにくくなる。するとプロジェクトにかけられる予算が減り、その結果、人々の心をつかむ多様なクリエイティブを実現しにくくなる――出版業界は今、この悪循環のさなかにある。そこでネット上に、クリエイティブとマーケティングのための新しい仕組みをつくろうと、2010年に、コンテンツ配信プラットフォーム「cakes(ケイクス)」を立ち上げた。幅広い執筆陣による、各種テーマの記事・コラムが日々更新されており、ここから数々のヒット本も生まれた。「ケイクスが目指しているのは、技術の力でクリエイターとユーザーとを効率的にマッチングし、相互のコミュニケーションを加速させること。ユーザーは面白い情報・コンテンツを効率よく得ることができ、クリエイターはここをマーケティングの場として活用することで、より多様なものづくりに挑戦できるようになります」と加藤貞顕さん。