日本の出生率の低さが社会問題化して久しい。そんな中、タマホームは「1 more Baby応援団」活動を始めると宣言した。2人目の子どもが欲しいという夫婦の気持ちを肯定し、“時代の気分をつくっていく”ための取り組みだ。
01 初回プレゼン資料。2人目を生みたい夫婦を応援するという、骨子の考え方を説明。
調査で見えた「ふたりめの壁」
未婚化や晩婚化、育児休業制度の不足など、さまざまな少子化の要因の中に、「ふたりめの壁」があるのをご存じだろうか?理想の子どもの数は2人だが、経済的な理由で2人目以降の出産をためらう夫婦のことだ。タマホームでは、この2人目という切り口で少子化の問題に取り組む「1 more Baby応援団」を昨年10月に発足した。
企画を立案したのは、SIX クリエイティブディレクターの大八木翼さんを中心とした制作チーム。タマホームの副社長の玉木伸弥さんから「新しいコミュニケーションに取り組みたい」と打診を受け、どのような提案ができるか、さまざまな調査結果を見ていく中で「ふたりめの壁」の存在を知った。そこから、2人目をためらう夫婦を応援することが、住宅メーカーとして長く続けられる活動になると考えた。玉木副社長はこの案に、「当社の社会貢献活動としてふさわしい」と賛同。具体的に話を進めていくことが決まった。
02 「1 more Baby応援団」ステートメント。
世の中の雰囲気をやわらかく変えていく
2人目以降も安心して生もう、というメッセージはどんな形で表現していくのが適切なのか。「大上段に構えて『ふたりめを生もう』と企業が言っても反感を買うだけです。メッセージを直接言うのではなく、家に子どもがいる幸せを具体的に思い描いてもらい、自然と子どもがほしいなと感じてもらうのがいいと思いました」。
世の中の雰囲気を、"やわらかく"変えていく。そのために大事なのが「届けることば」と「いい写真」だった。大八木さんは、タグラインやこの活動自体のネーミングなど「ことば」の検証をまず行った。「実際のお母さんたちにたくさんの案を見てもらって、好きか嫌いかを聞き、ときには怒られながら(笑)、響くポイント、不快に感じるポイントを探っていきました。結婚していない、子どももいない自分にとっては、わからないことだらけですから聞くしかない。ストレートな生の意見をここで聞けたことが、その先々の制作物に生きました」。この過程を経て、最終的にタグラインは「かぞくを、もうひとり。」に、活動の名前は「1 more Baby 応援団」となった。