世の中の話題を喚起し、商品やサービスへの関心を高めていくためのコミュニケーションにおいて、いま、PRの発想が欠かせなくなっている。ソーシャルメディア上で話題を広めるために、限られた予算でより多くの人に見てもらうために、いかにメディアにうまく情報をのせ、広げていくかが課題となっている。メディアに取り上げられ、さらにその先にいる生活者の理解・共感を得て、自発的に語ってもらうことを実現したキャンペーンは、どのように設計されていたのか。広告を制作する際に、PR視点でのバリューを高めるには、どんな工夫が必要なのか?そして、デジタル空間での話題喚起にとどまらず、生活者の意識を変え、さらには参加、来店、購買といったリアルな行動を喚起するための仕掛けとは?形にとらわれない自由な発想で企業のメッセージを届け、人の意識や行動を変え、さらには世の中の空気をも変えていける。そんな大きな可能性を秘める「PR×クリエイティブ」の最新形を追う。
「博多 一風堂」を展開する力の源カンパニーが主導し、2014年1月にパリで開催された「Paris Ramen Week Zuzutto」。6日間にわたって行われ、期間中に振る舞われたラーメンは4000杯にのぼった。
01 開催期間を通じて日替わりラーメンを提供したMaceoの前には、たくさんのパリっ子が列をなした。ラーメンのほかにも、江戸前鮨、焼き鳥、日本酒とともに代表的な日本食を提供。新横浜ラーメン博物館の協力を得て、ラーメンの歴史や文ラーメンの歴史や文化、トレンドなどに関する展示も行われた。
日本のラーメン人気店が出店
2014年1月20~25日の6日間、世界の食文化の中心地であるフランス・パリで開催された「Paris Ramen Week Zuzutto」。ラーメンを核に日本の食文化を伝えることを目的として掲げ、「食べる」「作る」「学ぶ」といった切り口から日本の食文化に触れることができる、さまざまなプログラムを展開した。経済産業省が採択したクール・ジャパン戦略推進事業の一つとして実施された同イベントを主導したのは、ラーメンチェーン「博多 一風堂」を展開する力の源カンパニー。同社代表取締役社長の河原成美さんが全体の企画を手がけた。同社の海外戦略を担当する山根智之さんは、「食文化を通して日本の良さを伝えたいという思いは、かねてから持っていました。13年12月にはユネスコ無形文化遺産に和食が登録されたことを追い風に、ラーメンをはじめとする日本の飲食業がより積極的に海外に進出していくための足がかりとなるイベントをつくれればと考えていました」と話す。