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2014年注目のクリエイティブチーム

サイトに込めた「驚き」こそが独自性になる

メフィラス

大阪を拠点にWebサイト制作やインタラクティブデザインを手がけるメフィラス。2012年にローンチされ大きな話題となった「おしい!広島県」のWebサイトのように、対象となる企業や自治体、サービスの特長を、「驚き」のある表現でWebサイトに描き出す。

01 前列左から、藤原明広さん(ディレクター)、福本雅博さん(アートディレクター)、川﨑保さん(クリエイティブディレクター)、原田大地さん(ディレクター)、上井温美さん(デザイナー)。後列左から、川上直毅さん(プログラマー)、大藤晃司さん(デザイナー)、岡本拓真さん(アートディレクター)、富永倫崇さん(プログラマー)、勝田夕子さん(マークアップエンジニア)。

将棋のように数手先を予想する

2012年3月、おもしろ自治体キャンペーンとして話題となった「おしい!広島県」のWebサイトを制作したメフィラス。「この仕事が、面白いサイトを作る会社だと認知されるターニングポイントになりました」と、代表取締役でありクリエイティブディレクターを兼任する川﨑保さんは話す。広告会社から声がかかったのは12年1月。ローンチまで3カ月と制作期間がタイトな案件だったが、必ず大きな話題を生む企画だと思い、引き受けることに決めた。

「おしい!」というテーマだけが決まっている中で、Webそのものを楽しむことのできるもの、見る人が驚きを感じるものにしたいと考え、スタッフ一丸となってアイデアを出しあった。そうして完成したWebサイトは、あえてGifアニメという古い技術を多用したことで、にぎやかで新鮮なデザインとなった。また、間違ったURLなどを入力した際に出るNOT FOUNDページには「おしい!」という文字が表示され、HTMLのソースコードの裏には、イメージキャラクターである有吉弘行さんの顔を描いたアスキーアートが仕込まれているなど、さまざまな仕掛けを散りばめている。遊び心満載の同サイトは、公開初日から各メディア、SNSなどで話題を集めた。

メフィラスがこだわるのは、期待を裏切る驚きをデザインに与えること。それがWebサイトの独自性になり、さらにコンセプトにもなるという。「単純に面白い仕掛けをつくることだけが、『驚き』になるわけではありません。クールな表情のWebサイトでも可能ですし、コーポレートサイトでもできること。何手も先を読む将棋のように、サイトを見たときにユーザーがどんな反応を示すのか想像し、そこに驚きがあるように設計します」と川﨑さんは話す。

バイオハザードの世界観をリアルに表現した「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン®のアトラクション告知サイト」も、その考えに基づいてデザインしたもの。サイト内にはSNS上の友達とアトラクションを疑似体験できるコンテンツを用意し、SNSで話題の拡散を狙うと共にアトラクションへの期待を高めた。また、チケットに記載されているQRコードからアクセスすると限定情報が得られる特設サイトを制作し、アトラクションの待ち時間を有効活用できるようにするなど、Webにとどまらずユーザーの心理を読んだ企画となっている。

02 広島県「おしい!広島県」Webサイト

03 ABRAHAM Webサイト
04 FELISSIMO 猫部Webサイト

05 クラブハリエ キッズ Webサイト

06 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン®「バイオハザード・ザ・リアル」Webサイト
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個人も会社も成長する組織体制

あくまでも「その会社らしい」驚きを与えることを重視しており、メフィラスの色が強く出ないようにも心がけている。「それぞれの会社やサービスにふさわしい色を出してあげることが大切で、メフィラスの色が強くなってしまうと、その企業やサービスのブランドを下げてしまうことになりかねません」と川﨑さん。「理想は無色透明な存在になることですから、スタッフも個人の色が出過ぎないよう、ひとつの得意ジャンルに固定しないようにしています」。

そのためスタッフにはさまざまなジャンルの知識が必要となる。成果発表や勉強会を定期的に開催し、スタッフの育成にもつとめている。さらに社内で制作したものに対するサプライズチェックも実施しているという。各担当が手がけた制作物は、川﨑さんをはじめアートディレクターの細かいチェックを受け、どのように独自性を出そうとしたかの制作意図が重視される。「サプライズは、企画やアイデアの核となる部分でも、デザインの細部であっても可能です。ここで大事なのは、スタッフに指示を出して無理に『サプライズ』を加えるのではなく、スタッフの『いいものをつくりたい』という思いを強めてあげること。あくまでお互いにフラットな関係で議論し、モチベーションを高めた話し合いの先に、アイデアの種が生まれるんです」。

そのような環境があるからこそ、スタッフ一人ひとりが提案力を身につけることができる。広告会社を通さずにクライアントと直接進める仕事が多いのも、同社が有する提案力や技術力の高さゆえだ。2014年から、東京との2拠点化を本格的に目指す同社は、関西だけに留まらず日本全国に活躍の場を広げていこうとしている。

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