2013年2月に公開されたキリンジ「いつも可愛い」のMVは、ユーザーの選択によって登場する女の子のリアクションや結末が変わるインタラクティブムービー。インタラクティブという手法を取った理由、そしてムービー制作のポイントとは。
「可愛さ」を関係性で表現する
「君はいつも可愛い後ろ手でスイッチ切ったbaby...」。「いつも可愛い」は、彼女との親密で甘い時間を歌い上げたキリンジの楽曲。そのMVをつくるにあたっては、「思いきり女の子の可愛さを表現した映像にしようと考えました」と、「InteractiveFilm いつも可愛い」を企画した博報堂の正村堅太郎さんは話す。
可愛いとは何か?と改めて考え、たどりついた結論は「容姿ではなく関係性」。「どんなに綺麗でも、よそよそしい女性は可愛くない。女の子との親密な関係性から、可愛さを感じてもらいたいと考えました」。そこで、フィルムの中の女の子とインタラクションできる企画が生まれた。
インタラクティブフィルムという設計を最大限に生かすためのシチュエーションとして選んだのは、彼女と2人で行く冬の小旅行。その中で、彼女と触れ合えるいくつかのインタラクティブポイントを設けた。その選択によって、彼女のリアクションや、フィルムの結末が変わる仕掛けになっている。例えば、パーキングエリアの食券機では、天ぷらうどんとソフトクリームが選べるが、温かい天ぷらうどんを選ぶと彼女を喜ばせることができ、冷たいソフトクリームを選ぶと寒がって喜んでもらえない...といった具合だ。ほかにも、旅館の部屋の中での「あっち向いてホイ!」など、親密さを感じさせるシチュエーションで選択肢が現れるようになっている。